• 秋の夜長、おうちであんこを炊いてみませんか?じっくりコトコト火を入れて、ゆっくり煮る時間が小豆をおいしくしてくれます。和菓子教室「和の菓子いろは」主宰の宇佐美桂子さんと高根幸子さんに、基本の小豆粒あんのつくり方を教えてもらいました。
    (『天然生活』2019年11月号掲載)

    秋の夜長に楽しみたい
    時間と手間をかけた、ていねいな「あんこ」づくり

    秋の気配が近づくと、じっくりコトコト火入れを楽しむ料理をつくりたくなります。なかでも、あんこ炊きは新豆が出まわるこの時季とくにおすすめです。

    『天然生活』ではいままでにも何度か小豆の粒あんのレシピを紹介してきましたが、今回は時間と手間をかけた、よりていねいなつくり方を紹介します。

    教えてくれたのは和菓子教室を主宰している宇佐美桂子さんと高根幸子さんです。

    画像: 秋の夜長に楽しみたい 時間と手間をかけた、ていねいな「あんこ」づくり

    「粒あんのつくり方は実にさまざまですが、今回はひと晩“蜜漬け”にするレシピを紹介します」

    聞けば、あんこ炊きも煮物と同じ原理で冷めるときに味(甘味)がしみ込むため、時間をかけて冷ましながら豆に甘味をふくませると一段も二段もおいしくみずみずしく仕上がるそう。

    小豆が煮えたら砂糖を加えるのではなく、豆とは別に蜜をつくり、そこに豆を加えてそのままひと晩置きます。翌日には、小豆のひと粒ひと粒に蜜がたっぷりとしみた「蜜煮」のでき上がり。

    この蜜煮をふたたび蜜と豆に分け、さらに蜜を煮詰めて豆をもどし入れてからていねいに練り上げます。

    「練る前の蜜煮もふくよかな味わいでおいしいですよ。お教室の生徒さんのなかには、蜜煮がおいしくて粒あんにする前にすべていただいてしまったという人もいるくらいなんです」と笑います。

    あせらず、ゆっくりと。豆をやわらかく煮ることが大切です

    ほかにも、一番初めに破けている豆を取り除いたり、時間だけでなく豆の様子を気にかけながら、練り具合を微妙に加減したり。そこかしこに、ていねいな仕事ぶりがうかがえます。

    「といってもあまり難しく考えなくていいんです。とにかく豆がやわらかく煮えていることが大切。糖分が加わると豆がキュッと締まりますが、十分にやわらかければかたくなりません。あせらずゆっくりやれば上手に炊けますよ」

    前述のとおり、おすすめは2日間かけてつくり上げるレシピですが、1日でできる方法(即炊き)も教えていただきました。

    こっくりと煮上がった粒あんは、みずみずしくしっとりとして絶品。秋の夜長にぜひ、お試しください。



    〈料理・スタイリング/和の菓子いろは 撮影/安井真喜子 取材・文/結城 歩〉

    宇佐美桂子(うさみ・けいこ)、高根幸子(たかね・さちこ)

    「和の菓子いろは」として季節の移ろいに寄り添った少人数制の和菓子教室を主宰。「手づくりの和菓子の基本は“あん”づくり」とのこと。著書にさまざまなお菓子のレシピが紹介された『はじめて作る和菓子のいろは』(世界文化社)などがある。

    ※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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