• 妊娠中、助産院で勧められたことをきっかけに冷えとりを始め、30年以上になるという布作家の早川ユミさん。畑で野菜を育てるように、もっとも身近な自然である、自分をお手当てする知恵を教えてもらいました。
    (『天然生活』2019年12月号掲載)

    部屋を温めるのではなく、自分自身を温める

    妊娠中、足がこむらがえりを起こすことを助産師さんに相談したところ、冷えとりを勧められたという早川ユミさん。

    靴下の重ねばきから始め、あれこれ試して、なんらかの変化を実感できたものが残ってきたそう。握手したときに、ほかの人より体温が上がっていると感じることも多いといいます。

    部屋を温めるのではなく、自分自身を温める、がモットー。私たちのからだは、上半身が36℃あっても、下半身は31℃くらいといわれています。

    冷えがあると、気や血液のめぐりが悪くなり、からだがモヤモヤして調子が悪くなります。意識的に温めることで、自然治癒力を高めることが大切です」

    画像: 朝起きてから夜眠るまで、靴下の重ねばきや湯たんぽで、冷えやすい下半身を意識的にいたわる。からだを温めるしょうがとにんにくは自家栽培。毎日の料理にたっぷり使う

    朝起きてから夜眠るまで、靴下の重ねばきや湯たんぽで、冷えやすい下半身を意識的にいたわる。からだを温めるしょうがとにんにくは自家栽培。毎日の料理にたっぷり使う

    早川ユミさんが実践している、3つの冷え対策

     食べもので体をいたわる

    心がけていることは大まかに3つあり、ひとつめは、食べものによる養生。

    からだを温めるにんにく、しょうがを畑で栽培していることで、惜しみなく使えるのは何よりうれしいことだそう。

    赤い皮が印象的なにんにくは、熱帯アジアの品種。土佐にんにくという在来種もつくっています。

    画像: 野菜は丸ごといただくことが多いので、根っこまでよく洗う

    野菜は丸ごといただくことが多いので、根っこまでよく洗う

    少し意外だったのは、一般的にからだを冷やすといわれる、生の葉ものサラダが食卓の定番なこと。

    「葉っぱをむしゃむしゃ食べることが、人間には必要なのでは? と直感して。生野菜を食べることで、細胞の奥にあるミトコンドリアが活性化するというのを、自分のからだで実験中です。

    植物の酵素は50~60℃の加熱で壊れると聞いたこともありましたが、頭で考えるより直感も大事だなって。このサラダは家族みんなが大好きで、ないときはシュンとしています」

    画像: 畑から摘みたてのリーフサラダは、冬場にも毎日食べる

    畑から摘みたてのリーフサラダは、冬場にも毎日食べる

     からだを動かして、気と地をめぐらせる

    ふたつめは、からだを動かすことで、気と血をしっかりめぐらせ、温めること。

    日課である畑仕事でたっぷり汗をかいたあと、自家製の酵素ジュースを飲み干すのは至福のひととき。

    さらに、2007年からは、夫の哲平さんとともに、高知で老子法を説く中内雅康先生に師事し、丹田呼吸法や、気をめぐらせるさまざまな方法を教わっています。

    「太陽や月や樹のエネルギーを取り入れて、自然をお手本に生きる」という老子法の教えはユミさんの大地に根ざした暮らしと重なり、自分らしく生きる哲学ともなっているのです。

     肌にふれるものは自然素材で手づくりする 

    3つめは、肌に触れるものをなるべく手づくりすること。

    古代中国で衣服を、からだをいやす薬と考えていた女性たちのように、オーガニックコットンなどの自然素材で、肌をやさしく温める下着やスパッツをちくちくと縫います。

    手づくりすることで、いつでも同じものが手に入るという安心感も。

    畑の野菜に霜よけの覆いをするように、自分を気にかけ、いたわることで、凍てつく時季も生き生きと過ごせるのです。

    画像: ユミさんの冷えとりアイテム一式。自然素材にこだわり、なるべく手づくりすることが、心地よさと安心感につながる

    ユミさんの冷えとりアイテム一式。自然素材にこだわり、なるべく手づくりすることが、心地よさと安心感につながる


    〈撮影/河上展儀 取材・文/野崎 泉 トレース/佐々木真由美〉

    早川ユミ(はやかわ・ゆみ)
    布作家。アジアの手織り草木染めの布で衣服をつくり、大地に根ざして暮らす。冷えとりや丹田呼吸法について綴った著書に『からだのーと』(自然食通信社)がある。

    ※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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