負担になる家事は人に頼み、億劫と上手につき合う
とはいえ、いつも、やる気満タンでいるわけにはいきません。そこは疲れない程度に調整しながらやっていくのがいいのです。
億劫を否定するのではなく、老いの自覚をもちつつ、ある程度は受け入れたほうが、自分の身を守ることができます。
負担になってきた家事などは、人に頼むというワザを使いましょう。
私の場合は、週に2日、シルバー人材センター(※)の人に来てもらい、食事づくりと、掃除、洗濯をしてもらっています。
最初は代金が割安なのがいいと思いお願いしたのですが、スタッフは地域に住んでいる人たちなので、知っている先生がいた学校のことなど、共通の話題があるのです。
親近感が湧いて、いまではとても心強く思っています。
億劫に立ち向かいながらも、苦しい部分は無理をせずに人にお願いしながら、上手に老いとつき合っていく。
その億劫を自分だけ、家族だけで解決しようとしないこと。
これは、人生100年時代を生き抜く知恵のひとつです。
シルバー人材センター
「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」に定められた、地域ごとに設置されている会員組織。原則60歳以上が会員として登録可能で、仕事の種類や発注などの詳細は地域のシルバー人材センターにより異なる。
※ 本記事は『老いてもヒグチ。転ばぬ先の幸せのヒント』(清流出版)からの抜粋です。
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経験、実感、調査データからひも解く、ヨタヘロ期のココロエ。
わたくし92歳。ムリせず、楽しく、少しがんばって、暮らしています。
【目次】
はじめに 幸せな「老い」を生ききるために
第1章 人生一〇〇年時代の「老い」とは
第2章 老いに必要な、ライフスタイルを身につける
第3章 健康管理・危機管理は人の手も借りて万全に
第4章 自分の気持ちを大切にする人生の終い方
第5章 この先も人生の主人公。前向きに生きるには
おわりにかえて 私のターニングポイントと、力を注いできたこと
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樋口恵子(ひぐち・けいこ)
1932年、東京都生まれ。東京大学文学部卒業。時事通信社、学習研究社、キヤノン株式会社を経て、評論活動に入る。政府の男女共同参画会議の委員などを歴任。介護保険制度創設に尽力するなど、女性や介護、高齢者問題に深くかかわり、執筆や講演などに力を注ぐ。NPO法人「高齢社会をよくする女性の会」前理事長(現在は名誉理事長)。著書に『老いの福袋 あっぱれ!ころばぬ先の知恵88』『老いの上機嫌 90代!笑う門には福来る』(ともに中央公論新社)など多数。