「書く」ことを通して自分の内面をさらけ出す
大人になると、つい感情を抑えてしまったり、自分の本心を無視してしまったりするもの。
自我をのびのびと解放させて育ち、いまも心のまま素直に生きているように見える浜島さんも、実は同じだといいます。
「例えるならマトリョーシカみたいな感じ。自分が3層くらいになっていて、一番内側の自分が隠している気持ちを、外側の自分は知りつつ表に出すことはありません。でも、そんな内に秘めた思いをさらけ出したくなったら、私は『書く』というツールを使うんです」

5年前に随筆集『蝶の粉』を出した際、多くの人から「意外でした」と言われたという浜島さん。
それは、普段モデル・はまじが見せている明るく屈託のない姿と、作品のなかで明かされた人間くささやほの暗さに、大きなギャップがあったから。
「天真爛漫だと思っていたけれど、実はドロドロしているんだね、と(笑)。オフィシャルな自分のイメージを裏切りたかったわけではなかったけれど、“黒はまじ”の部分もあると知ってもらえて、それを面白がってもらえたことが、すごくうれしかったですね。でも、それで生きやすさが変わったかというと、とくに変化はありません。自分の内面を出したい人は出せばいいし、出さないほうが楽ならそのままでいい。心地よく生きられるバランスはその人だけのものだから。誰かのまねをして無理をする必要はないと思うんです」
〈撮影/竹中祥平 スタイリスト/福田麻琴 ヘア&メイク/ナライユミ 取材・文/栗田瑞穂〉
浜島直子(はまじま・なおこ)
モデル。北海道生まれ。19歳で上京し、『mc Sister』のモデルに。その後、『世界・ふしぎ発見!』のミステリーハンターとして幅広い世代から人気を集める。現在は『ESSE』『LEE』で連載を持つほか、テレビやラジオで活躍。随筆集『蝶の粉』(ミルブックス刊)、『けだま』(大和書房刊)に続き、3月にフォトエッセイ『キドアイラク譚』(扶桑社刊)を刊行。10歳の男の子の母。
インスタグラム@hamaji_0912
◆衣装協力/シャツ ¥9,900(ジャーナル スタンダード レリューム/ジャーナル スタンダード レリューム ルミネ新宿店)