夏ばて知らずで、100個どり! ナスの水苔植え

良質のナスを次々と実らせるには、肥料切れさせないことが重要です。しかし、それだけでは不十分。
「ナスは水で育てる」と言われるほど、水が必要です。とは言っても酷暑の夏場は、水やりの手間を省きたいのが心情。そこで注目したのが、保水力のある水苔です。
水苔を使って植えつけ方をひと工夫すると大幅に収量がアップしました。
実験背景/実験方法
ナスの原産地の環境(高温多湿)を再現したい
ナスの原産地はインド東部の熱帯地域。気温が高く、雨が多い地域です。そのためナスは、高温多湿を好み、梅雨が明けて気温が上がる頃、次々に実をつけます。
しかし、近年の夏は猛暑が当たり前で、とても乾燥しやすく、その結果、葉からの蒸散が増え、「水で育つ」とも言われるナスには、過酷な環境といえます。

ナスは水が不足すると一気に生育が悪くなり、実もかたくなって食味が落ちます。とはいえ、雨の後に水たまりができるような畑でもいけません。水はけと水もちのバランスがいい土が求められます。
そこで、ナスが好む土壌環境を人工的に構築しようと試みたのが、今回の“水苔植え”です。
用いるのは園芸用の乾燥水苔で、高い保水力や通気性があります。
この水苔でナスの根鉢を包むことで、夏の乾燥を乗りきり、農家並みの1株100個どりをめざします。
本記事は、『家庭菜園の超裏ワザ』(家の光協会)からの抜粋です。
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<撮影/阪口克>
和田義弥(わだ・よしひろ)
1973年茨城県生まれ。フリーライター。20〜30代前半にオートバイで世界一周。40代を前にそれまで暮らしていた都心郊外の住宅街から、茨城県筑波山麓の農村に移住。昭和初期建築の古民家をDIYでセルフリノベーションした後、丸太や古材を使って新たな住まいをセルフビルド。約5反の田畑で自給用の米や野菜を栽培し、ヤギやニワトリを飼い、冬の暖房を100%薪ストーブでまかなう自給自足的アウトドアライフを実践する。著書は『増補改訂版 ニワトリと暮らす』(グラフィック社)、『一坪ミニ菜園入門』(山と渓谷社)など多数。