栽培経過
真夏になると水苔植えが真価を発揮!
各2株で比較した
植えつけ方以外の条件を合わせるため、水はけのよい畑の一角を選び、株間1.5mで植えつけた。
株数は、「水苔植え」2株(A、B)、「普通植え」2株(C、D)の計4株
水苔植え
B

A

穴底に植えた苗は、定植後、2週間ほどで地表より草丈が伸びた。根鉢を水苔で包んで植えたが、活着が遅れた様子はなかった
普通植え
D

C

植え穴に「水苔植え」と同じ量の元肥を入れて植えつけた。水はけがよく、比較的乾燥しやすい畑なので、畝は盛り上げず平畝とした
「水苔植え」2株(A、B)、「普通植え」2株(C、D)で、生育と収量を比較しました。品種は定番の『千両二号』(タキイ種苗)を選びました。
植えつけは5月中旬。整枝は主枝とわき芽2本を伸ばす3本仕立てとし、残りのわき芽はかき取って枝が混み合わないようにしました。
生育の初期は、「水苔植え」と「普通植え」に大きな差はみられませんでした。いずれも5月下旬には1番花が開花しましたが、実がつく前に摘花しました。
その後に咲いた2番花も摘んで、株が充実するまで養分を茎葉の生長に集中させました。
6月中旬に1回めの追肥。1株当たり40~50gの有機質肥料を施します。以降2週間に1回を目安に、9月下旬まで同量の追肥を続けました。

肥料切れしないように2週間に1回を目安に追肥。併せて水やりもする
収穫開始はそろって7月中旬となり、4株とも2~3個収穫できました。
7月下旬には「水苔植え」A10個(973g)とB8個(914g)、「普通植え」C6個(626g)、D7個(627g)を収穫。
水苔植えの効果が顕著に現れたのは暑さが厳しく、雨が少なかった8月です。
「普通植え」の収量が激減したいっぽう、「水苔植え」は草勢が衰える様子もなく、収量が落ちませんでした。
9月になって暑さが一段落し、雨が適度に降るようになると、「普通植え」Cにたくさんの実がつきました。「水苔植え」Aも堅調を維持。
さらに10月上旬には「水苔植え」Bの収穫がピークを迎えました。10月下旬以降、気温の低下とともに収量は落ちていき、11月中旬に食用に値する実をすべて収穫して栽培を終えました。
本記事は、『家庭菜園の超裏ワザ』(家の光協会)からの抜粋です。
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<撮影/阪口克>
和田義弥(わだ・よしひろ)
1973年茨城県生まれ。フリーライター。20〜30代前半にオートバイで世界一周。40代を前にそれまで暮らしていた都心郊外の住宅街から、茨城県筑波山麓の農村に移住。昭和初期建築の古民家をDIYでセルフリノベーションした後、丸太や古材を使って新たな住まいをセルフビルド。約5反の田畑で自給用の米や野菜を栽培し、ヤギやニワトリを飼い、冬の暖房を100%薪ストーブでまかなう自給自足的アウトドアライフを実践する。著書は『増補改訂版 ニワトリと暮らす』(グラフィック社)、『一坪ミニ菜園入門』(山と渓谷社)など多数。