オクラのネバネバ実験
オクラ独特のねばりは食欲増進などの働きがあり、熱い夏に元気をつけてくれます。
そのネバネバを増強できないか、という思いで中国の「同物同治」の思想に基づき、同じネバネバを持つ納豆液をオクラに施用。
はたして粘りはアップするのか。
まじめに調べてみました。

実験背景/実験方法
納豆のネバネバをオクラに分け与えたい
冒頭から私事で恐縮ですが、納豆やモズク、ヤマイモなどのネバネバ食材が大好きです。
口に含んだときのねっとりした食感は好みが分かれますが、好きな人にとっては、この粘りこそが命。
よくかき混ぜた納豆を箸で持ち上げたときに、長く糸を引くのを見るだけでも口中によだれがわいてきます。
野菜にも粘りを持つものがたくさんあります。先述したヤマイモをはじめ、オクラ、モロヘイヤ、ツルムラサキなど。これらのネバネバは胃の粘膜保護や、タンパク質の消化促進などの働きがあり、食欲を増進させてくれるので、夏の元気の源として欠かせません。
わが家でも毎年オクラを栽培していますが、あるとき、一つの実験を思いつきました。
中国の薬膳には「同物同治」という思想があります。身体の不調を治すには調子の悪い所と同じ部位を食べればいいというもので、肝臓が弱っているときにはレバー、心臓にはハツが効くというようなことです。その考え方で納豆のネバネバをオクラに取り込めないか。
突拍子もない考えですが、だれもが“まさか”と思うことに、意外な発見はあるものです。
じつは、この実験にかっこうの資材があります。おもに微生物活性効果を求めて使用される「納豆液」です。納豆菌には有害な菌を抑え込む力があり、微生物をふやすことで堆肥や有機質肥料の分解を促します。
材料は納豆と水。さらに菌の餌として豆乳と黒糖を加えます。施用方法は水をやるように納豆液をオクラの株元に注ぐだけ。
5月中旬に種をまき、草丈20cmになった頃から収穫終了まで20日に1回の頻度で納豆液を与えました。
本記事は、『家庭菜園の超裏ワザ』(家の光協会)からの抜粋です。
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<撮影/阪口克>
和田義弥(わだ・よしひろ)
1973年茨城県生まれ。フリーライター。20〜30代前半にオートバイで世界一周。40代を前にそれまで暮らしていた都心郊外の住宅街から、茨城県筑波山麓の農村に移住。昭和初期建築の古民家をDIYでセルフリノベーションした後、丸太や古材を使って新たな住まいをセルフビルド。約5反の田畑で自給用の米や野菜を栽培し、ヤギやニワトリを飼い、冬の暖房を100%薪ストーブでまかなう自給自足的アウトドアライフを実践する。著書は『増補改訂版 ニワトリと暮らす』(グラフィック社)、『一坪ミニ菜園入門』(山と渓谷社)など多数。