実験結果
納豆液によるネバネバ増強効果を検証
収穫がピークを迎える8月上旬に、その日6〜10cm程度に育っていた食べごろの実をいっせいに収穫しました。

オクラのさやは1日で数センチ大きくなるので、とり遅れないように収穫する。さやを収穫したら、併せて下葉も落とし、株元の風通しをよくしておく
オクラの場合、さやのサイズは収穫のタイミングで異なり、育ちすぎるとかたくなって食味が落ちるため、大きさや収量による比較はしにくいのですが、断面を見ると「納豆液栽培」のほうが平均して肉厚に見えます。
かたさは感じられず、むしろネバネバに混じる種のプチプチした食感が増し、オクラならではの味わいを高めています。
本題である粘りは、8本のオクラを包丁で細かく刻み、器に入れてよくかき混ぜたものを、次の方法で比較しました。
1 箸で持ち上げて粘りが切れずに到達する高さ。
2 オクラを載せた皿を逆さにして落下するまでの時間。
結果は下に示したとおり、粘り強さでは「納豆液栽培」に軍配が上がりました。
納豆液栽培

普通栽培



太く肉厚な果実に
同サイズの「普通栽培」と断面を比較すると、若干肉厚で種がより大きく育っている。切り口には強い粘りがみられた
サンプルとして8本を収穫。若干の曲がり果やイボ果がみられるが、虫害や日照不足などが原因と思われる。「納豆液栽培」も同様
1 粘り強度を比較


長さ25%アップ
「納豆液栽培」は約33cm。オクラのつかみ方や量にも左右されるが、感覚的にも、「納豆液栽培」のほうが粘りが強かった
細かく刻んで皿に盛ったオクラを箸で持ち上げ、ネバネバの伸びを定規で計測する。「普通栽培」は約26cm
2 粘り強度を比較
皿を逆さにして、落下するまでの時間を計測した。


落下までの時間 9.89秒
粘り強く重力に耐え、耐久時間が3秒延びた!
落下までの時間 6.91秒
本記事は、『家庭菜園の超裏ワザ』(家の光協会)からの抜粋です。
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<撮影/阪口克>
和田義弥(わだ・よしひろ)
1973年茨城県生まれ。フリーライター。20〜30代前半にオートバイで世界一周。40代を前にそれまで暮らしていた都心郊外の住宅街から、茨城県筑波山麓の農村に移住。昭和初期建築の古民家をDIYでセルフリノベーションした後、丸太や古材を使って新たな住まいをセルフビルド。約5反の田畑で自給用の米や野菜を栽培し、ヤギやニワトリを飼い、冬の暖房を100%薪ストーブでまかなう自給自足的アウトドアライフを実践する。著書は『増補改訂版 ニワトリと暮らす』(グラフィック社)、『一坪ミニ菜園入門』(山と渓谷社)など多数。