和風カステラはしっとり感ともっちり感が鍵

今回、「甘堂ふわ作」パティシエの照井昌子さんが教えてくれたのは、昔から日本人みんなに愛されている和風カステラ。
一切れ食べれば、和のやさしい甘さが口のなかに広がります。
一見、ふわふわの生地でまるでスポンジケーキのよう。でも食べてみればまったくの別物のおいしさです。その違いは何なのでしょう。
「カステラづくりで大切なのは、しっとり感と、もっちり感、そしてコクのある甘さの3つ。それがスポンジケーキとの大きな違いになると思います」
おやつ時間には、牛乳と一緒に。慣れ親しんだ昔ながらのカステラのお楽しみ

その調整に、試作を重ねていまのレシピが完成しました。
最初のころは、生地がしぼんだり、硬くなったり、イメージの甘さと違ったり、と苦戦したそう。
「もっちり感を出すための粉の配合や、しっとりと焼き上げるための水あめや生クリーム、甘さにコクを出すためのはちみつなど、バランスを調整しました。できるだけ手軽な方法で、たくさんの方が自宅でつくれるようにアレンジしています。目指したのは、お子さんからご年配の方まで幅広い層の方に受け入れていただけるようなくせのないカステラです。おやつ時間には、牛乳と一緒にいただいてもおいしいですよ。多くの方にこのレシピを楽しんでいただければうれしいです」
〈ふわ作memo〉
ちょっとしたプレゼントにも
日々のおやつはもちろん、知人や友人への手づくりプレゼントにもぴったり。ラッピングする際は、カステラがつぶれないように気をつけながら袋の口を閉じ、好きなひもなどで結ぶと◎。

ふわ作流
「和風カステラ」のつくり方

材料(21×21cmの新聞紙型1台分)
● 卵(溶いた状態) | 300g |
● 上白糖 | 160g |
A | |
・水あめ | 80g |
・はちみつ | 30g |
・生クリーム | 40mL |
B | |
・薄力粉 | 60g |
・強力粉 | 60g |
下準備
・新聞紙で型をつくる(つくり方は下記参照)。
・オーブンを200度に予熱する(下火が設定できる場合は下火160度にする)。
・小鍋にAを入れて一度沸騰させ、40度くらいまで冷ましておく。
・Bの粉類をふるっておく。
・湯せん用の湯(60度程度)を沸かしておく。
〈ふわ作memo〉
使用する型について
照井さんが教えてくれた「和風カステラ」は、新聞紙を8枚重ねて、型をつくります。「熱伝導が低い新聞紙を型に使えば、ゆっくりと生地に熱が伝わり、しっとりと焼きあがります」

つくり方
1 ボウルに卵と上白糖を入れる。湯せんにかけながら泡立て器で混ぜて、35度くらいまで温める。
2 湯せんを外し、ハンドミキサー(高速)で8の字が書けるくらいまでふわふわに泡立てる。

〈ふわ作memo〉
卵の泡立てについて
生地づくりの鍵となる卵の泡立て。実は、季節によっては、失敗しやすくなることも。「気をつけたいのは寒い冬。低い室温によっては気泡が入りにくいので、夏よりも意識して湯せんで温めながら泡立てるとスムーズです」
3 40度に冷ましておいたAを入れて、ハンドミキサー(低速)で1分ほど立てる。
4 ふるっておいたBを入れて、泡立て器で粉っぽさがなくなるまで混ぜる。ゴムベらに持ち替えて、泡を整えながら混ぜる。
※一度、網で漉すと、より口当たりがよくなります。
5 新聞紙でつくった型に4を流し入れて、生地の表面に好みの焼き色がつくまで、200度のオーブンで10~20分焼く。
※途中、2分ごとに3回程度を目安にゴムべらで生地を混ぜると、キメが整います。
6 表面に焼き色がついたら5にアルミホイルをかぶせる。オーブンの温度を160度に下げて40~50分焼く。生地の真ん中を指で押してみて、弾力があり、へこみがなければ焼き上がり。
※オーブンによって変わるので、様子を見ながら時間を調節してください。

ひと晩寝かせるときは、ラップで包んで保存するとしっとり感が保てる
7 冷めたらクッキングシートごと型から取り出し、シートを外す。端を切り落とし、好みの大きさにカットする。「ひと口サイズの長方形に切ればカステラらしい見た目に。コロコロとした正方形のブロック型にカットしてもかわいいですよ」


端っこは切り落としてから、残りをひと口サイズに切っていく。切るときに上から押すとつぶれてしまうため、のこぎりを動かすように前後に引きながらカットする
〈ふわ作memo〉
端っこ、どうする?
切り落とした端っこは、ひと口サイズにカットしてたっぷりの無糖の生クリームと、ベリー系などの酸味のあるフルーツを添えれば、自家製のカステラパフェに。
〈料理/甘堂ふわ作 スタイリング/池 亜希子 撮影/星 亘〉
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甘堂ふわ作(かんどうふわさく)

東京・三鷹台にある小さなお菓子屋さん。オーナーは照井由利子さん、パティシエは照井昌子さんの、姉妹が営むお店。昌子さんは製菓学校で学んだあと、洋菓子店やカフェの仕事を経て、独立。マルシェやイベントなどでお菓子を販売するようになり、2019年にお姉さんの由利子さんとともに「甘堂ふわ作(かんどうふわさく)」を開店。スコーンやマフィンにプリン、そして、季節のケーキなど、素朴でやさしい味わいのお菓子にじわじわとファンが増え続け、いまではたくさんの常連さんが通う地元の人気店に。
インスタグラム@kfuwasaku
●住所:東京都三鷹市井の頭2丁目7-1
●OPEN :水・木・土・日曜/12:30~20:00(お菓子がなくなり次第、終了)