(『天然生活』2022年2月号掲載)
11月に楽しむ、発酵食と保存食
干し柿、牡蠣のオイル漬け、アンチョビづくり

縁側にずらりと並ぶ「干し柿」は、わが家の風物詩です。
実家から送られてくるものや、ご近所からいただくものを使って、毎年たくさん仕込んでいます。本来は軒先に干すのが理想ですが、わが家ではリスがやってきて食べつくしてしまうため、苦肉の策で縁側に干しています。
干し柿にカビが気になる場合は、焼酎を吹きかけると防ぐことができます。約1カ月ほど干しますが、その間、1週間おきに全体をもむことで、渋が早く抜け、やわらかく仕上がります。
また、この時季になると、新鮮なものが手に入ったら必ず作るのが「牡蠣のオイル漬け」と「アンチョビ」です。どちらもパスタやピザなどの料理に大活躍し、季節の楽しみとして我が家の食卓を彩っています。
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▼「干し柿」のつくり方はこちら
▼「牡蠣のオイル漬け」のつくり方はこちら
「アンチョビ」のつくり方

アンチョビや保存系食材はかなり塩気が強いため、そのまま食べたい場合は、3%の塩水に数時間つけて塩抜きするとおいしく味わえます。
また、オリーブオイルについては取り扱いに注意が必要です。冷蔵庫に入れると固まりやすくなり、光に当てると劣化しやすいため、常温の暗所で保存するのがおすすめです。
こだわりの食材を丁寧に扱うことで、より豊かな味わいを楽しむことができますね。
材料(つくりやすい分量)
| ● カタクチイワシ(※) | 20尾 |
| ● 塩 | イワシの15%程度 |
| ● オリーブオイル | 適量 |
| ● 赤とうがらし | 1本 |
| ● 黒こしょう、ローリエ(お好みで) | 1~2枚 |
※ウルメイワシ、小ぶりのマイワシでも可
つくり方
1 イワシは手開きして頭、内臓、背骨を取り除き、3%の塩水(分量外)で洗ってペーパータオルで水けをしっかりふき取る。
2 下漬けする。清潔な保存容器に、塩、イワシ、塩の順に重ねて入れる。一番上はイワシが見えなくなるくらいまで塩をふる。
3 空気に触れないようラップでぴっちりと表面を覆ってふたをし、冷蔵庫で1カ月ほどねかせる。
4 瓶詰めする。1カ月ほどおいて熟成させたらイワシを取り出し、ペーパータオルで水けをふき取る。煮沸消毒(またはアルコール消毒)した保存瓶にイワシを縦に詰め、オリーブオイルをひたひたになるまで注ぎ、赤とうがらし、好みで黒こしょう、ローリエを加える。半月以上ねかせたらでき上がり。
*常温の暗所で約1年保存可。
*下漬けで容器にたまった液体はナンプラーとして使用できる。清潔な瓶に移し、冷蔵で保存する。
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▼そのほかの11月の手仕事はこちら
〈監修/山田奈美 イラスト/しらいしののこ 取材・文/結城歩〉
山田奈美(やまだ・なみ)
薬膳・発酵料理家。食養研究家。発酵食や薬膳に造詣が深く、神奈川県葉山町で発酵や薬膳の料理教室を開催している。季節の発酵食と保存食づくりについて詳しく紹介している『昔ながらの知恵で暮らしを楽しむ家しごと』(エクスナレッジ)ほか著書多数。夫と小学生の息子の3人暮らし。
http://tabegoto.com/
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
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