• 英国のハーバリストはハーブを使って体や心を整えるだけでなく、ハーブ療法を通してさまざまなメッセージを発信しています。ハーブがあるすこやかな日々、そしてその先にある何を伝えようとしているのでしょうか。本記事では、ハーバリストの石丸沙織さんが英国で出会った素敵なハーバリストたちをご紹介します。今回は、水上に浮かぶボートを拠点にハーブ療法を行う、メリッサさん。その活動はボートの診察室から地域のコミュニティへ、さらには、フランスの難民キャンプでの治療など、社会的な活動にまで広がっています。

    フランスの難民キャンプでの活動も

    コミュニティとの関わりという話から、ハーバリストの心得として「連帯(Solidarity・ソリダリティ)」をテーマに話が進みました。メリッサが運営に関わっている、もうひとつの移動ハーブクリニックと難民キャンプについてのお話です。

    ときは遡り2015年のこと、メリッサはロンドンの自宅で、北フランス・カレーにある難民キャンプのニュースを見ていました。その光景を目にしながら、ハーバリストとして自分ができることを漠然と考えていたそうです。

    幸い、応急処置の訓練を受けていて実践経験もありましたが、何から始めたらよいのか、ハーバリストは必要とされているのか、どうしたらほかの医療従事者に受け入れてもらえるのかと思い巡らせていました。

    偶然にもキャンプ内のキッチンでボランティアをする機会を得て、現地に渡り、まずはハーブを食材として取り入れることを提案しました。すると、すぐにハーバリストとして助けを求められるようになり、ここでもうひとつの移動ハーブクリニックを立ち上げることになります。

    ハーブを使って感染症予防を

    はじめに関わったのは、女性たちのセルフケアを支援するプロジェクトでした。ハーブを利用した感染症の予防を広めていくうちに、ハーブ療法に対して多くの支持を得られるようになっていきました。

    その年の暮れから2ヶ月渡航したのを皮切りに、メリッサは定期的にカレーの難民キャンプに足を運ぶようになります。翌年の夏には何人かのハーバリスト応急処置を行うようになり、何度も形を変えて、現在ではミニバンを利用したクリニックが出来上がりました。

    画像: 奥に見えるのが移動クリニック

    奥に見えるのが移動クリニック

    当初は、現地で活動している英国の医療チームとの協力体制がありましたが、2019年秋からは民間ボランティア組織である「国境なきハーバリスト団英国支部」(※)としての活動が始まりました。

    現地では、どのような支援が適しているかを考えさせられる場面がよくあるそうです。心に深い傷を負い、社会的に弱い立場に立たされている難民の方々に関わっていくにあたって、自分たちの能力の限界を見極めることも心がけています。

    ※ 現在は、「カレー移動ハーブクリニック(Mobile Herbal Clinic Calais)」に活動が継承されています。 https://mobileherbalclinic.org


    〈撮影・文/石丸沙織 写真提供/メリッサ・ロナルドソン〉

    石丸沙織(いしまる・さおり)
    英国メディカルハーバリスト、アロマセラピスト。イギリスでハーブ医学を学んだのち、東京、香港を経て、2011年より鹿児島県奄美大島在住。地域に根差したハーバリストとして、身近なハーブを暮らしに取り入れたケアを広めている。菓子研究家・長田佳子さんとの共著に『ハーブレッスンブック』(アノニマ・スタジオ)、訳書に『フィンランド発 ヘンリエッタの実践ハーブ療法』(フレグランスジャーナル社)がある。

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    『ハーブレッスンブック』(石丸沙織・長田佳子・著/アノニマ・スタジオ・刊)

    画像: ハーバリストを訪ねて、英国へ。ロンドンの運河に浮かぶ「ボートクリニック」でハーブ療法を行う、メリッサ。広がる取り組みはフランスの難民キャンプ支援にも/ハーバリスト・石丸沙織さん

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    メディカルハーバリストの石丸沙織さんと菓子研究家・長田佳子さんは2018年より「herb lesson」を開催してきました。ハーブのテイスティングとそのシェアリングに時間をかけ、教科書的なハーブの知識だけではなく、それらが使う人の心身にどのように響くかを大切にしています。

    ハーブティー、ブレンドの考え方、ハーブバス、チンキなどのレメディ、ハーブの風味を味わうお菓子を暮らしに取り入れてみましょう。自分の感覚を大事にする、こころとからだを癒すセルフケアの方法やアイデアをご紹介します。

    ハーブとの出逢いを通して、新しい自分に出逢える一冊です。



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