難民キャンプで大切にしている3つのこと
また、“ホリスティック”という「症状だけではなく、その人の全体像にアプローチする」というハーブ療法の基本的な考え方に対して、難民キャンプでは限られた時間の中で、症状を治す“対症療法”をすることが多く、ハーバリストとしてはもどかしさを感じることもあるといいます。
そんなときに心に留めているのが、3つのことでした。
①「連帯感」を大切にする
キャンプでは、二度と会うことがないかもしれない方ではありますが、友人として寄り添うようにしています。実際、応急処置では対応できない症状を訴える方もいるそうですが、最後まで話に耳を傾けることで誠意を伝えているそうです。
②感染症予防のために、抗菌作用のあるハーブを活用
キャンプ内では抗生物質が十分に使えないため、咳シロップ、うがい薬、ハーブでつくる薬(ビネガーチンキなど)を使って風邪や咳、虫刺されからくる化膿、切り傷などへの対処を行っています。これらは応急処置やセルフケアに欠かせないものです。

ハーブを使ったセルフケアキット。手の消毒や咳のシロップなど
③緊急度や重要度を見極め、感染症が広がるのを防ぐ
患者の緊急度や重症度を判断し、治療の優先順位をつけ、キャンプ内で感染症が広がるのを防いでいます。また、さらなる治療を必要とする方には、医療機関の受診を促しています。
こうすることで、難民の方々の健康を守る支援につながると考えています。

難民キャンプでのプロジェクトに参加するハーバリストたちの養成も

養成コースでは、レメディづくりも体験してもらっている

出来上がったレメディの仕上がりを確認

難民キャンプでの心得を伝えるメリッサ。宗教上の理由でアルコールを摂取できない人や、女性が対応に当たる必要があるケースもあることなどを説明
メリッサから学んだこと
メリッサからは、ハーバリストの活動の場は、診療室からコミュニティへ、そして社会活動へと広がってきていることを教えてもらいました。
英国のハーブ療法では、個人の心と体を捉える「ホリスティック」なアプローチだけにとどまらず、「個人が地域のコミュニティや社会とどのように関わっていくか」にも目を向けて実践されていくという、新しい価値観とともに広がっています。
Melissa Ronaldson(メリッサ・ロナルドソン)
メディカルハーバリスト(英国メディカルハーバリスト協会会員)、Heart Wood Foundationハーバリスト養成コース講師。
https://www.herbalbarge.co.uk
〈撮影・文/石丸沙織 写真提供/メリッサ・ロナルドソン〉
石丸沙織(いしまる・さおり)
英国メディカルハーバリスト、アロマセラピスト。イギリスでハーブ医学を学んだのち、東京、香港を経て、2011年より鹿児島県奄美大島在住。地域に根差したハーバリストとして、身近なハーブを暮らしに取り入れたケアを広めている。菓子研究家・長田佳子さんとの共著に『ハーブレッスンブック』(アノニマ・スタジオ)、訳書に『フィンランド発 ヘンリエッタの実践ハーブ療法』(フレグランスジャーナル社)がある。
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メディカルハーバリストの石丸沙織さんと菓子研究家・長田佳子さんは2018年より「herb lesson」を開催してきました。ハーブのテイスティングとそのシェアリングに時間をかけ、教科書的なハーブの知識だけではなく、それらが使う人の心身にどのように響くかを大切にしています。
ハーブティー、ブレンドの考え方、ハーブバス、チンキなどのレメディ、ハーブの風味を味わうお菓子を暮らしに取り入れてみましょう。自分の感覚を大事にする、こころとからだを癒すセルフケアの方法やアイデアをご紹介します。
ハーブとの出逢いを通して、新しい自分に出逢える一冊です。





