(『天然生活』2025年3月号掲載)
「岩井の胡麻油」の工場を訪ねて
工場を訪れてまず驚いたのは、原料の状態に合わせ、焙煎度合いを毎日細やかに調節していること。
「粒の大きさや皮の厚みは、いつも同じではないですから。小規模だからこそ、できることですけれどね。あとは、単純にごまに圧力をかけてしぼり、ろ過をして終わり。うちの油、わかりやすいでしょう?」と社長の岩井竜太さん。

岩井の胡麻油9代目社長の岩井竜太さんと。「うちのごま油の製造工程をお見せすると、みなさん『こんなに単純なの?』と驚かれるんですよ」
「溶剤を使えば、ごまに対する搾油率は約98%まで高められます。でも、私たちの場合はせいぜい78%程度。
同じ圧搾法でも、大手メーカーは6番しぼりくらいまで取るそうですが、うちは2番しぼりまでに留めています。だから、しぼりかすのごまにもまだ栄養が残っていて、鶏の飼料として再利用できる。無駄が出ないんです」
「岩井さんのごま油が香り高くてフレッシュなのは、まさにそこが理由なんですね」と真藤さん。
「いまは工業製品的につくられる食品も多いけれど、私はやっぱり、素材と真摯に向き合っているメーカーさんのものを口にしたい。その姿勢って、何より味わいに色濃く反映されるものなんです」
ごま油ができるまで
1 原料倉庫にごま種子を保管。
2 ふるい・選別

原料のごまに入った小石などを除去する
3 加熱・焙煎

その日のごまの状態に合わせて温度と時間を決めて焙煎する
4 搾油

圧力をかけてごま油をしぼり取る
5 粗ろ過

「この厚手のコットンでろ過するんですね」と真藤さん
6 静置タンク

ろ過したものをタンクに移して静置
7 仕上げろ過
8 製品タンク
9 充填

沈殿物を除いて容器に充填される
11 製品倉庫
12 出荷
訪ねたところ「岩井の胡麻油」
1857年、千葉県佐倉市にて創業。1893年に現在の操業地に近い神奈川県横浜市神奈川区に工場を設立する。今なお、昔ながらの圧搾法を守り、幾多の名店、料理人から愛される胡麻油の製造を続ける。
☎045-441-2033
https://shop.iwainogomaabura.co.jp/
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▼真藤舞衣子さんの「岩井の胡麻油」訪問記 そのほかのお話はこちら
〈撮影/山田耕司 取材・文/福山雅美〉
真藤舞衣子(しんどう・まいこ)
京都のお寺で1年間の修行生活を経験する。のち、フランスのリッツエスコフィエにてディプロマを取得。料理を通じて環境を考えた暮らし方や食育を提案し、特に発酵に関しては造詣が深い。『発酵美人になりませう』(宝島社)など、著書多数。インスタグラム(@maikodeluxe)







