「あれ、ちょっと調子が悪いかな?」そんなときに頼れる、“とっておき”。
薬とまではいかないけれど、心強くなる存在の「食サプリ」をご紹介。今回は料理家・口尾麻美さんのお話です。
(『天然生活』2017年5月号掲載)
毎日のごはんをよりおいしくいただくための、消化を助けるアイテム
[消化力をアップさせたいとき] しょうがのピクルス
料理の仕事をしているけれど、実は小食。それなのに、気持ちだけは食いしん坊。そんな口尾さんが毎食前につまんでいるのが、しょうがのピクルス。
「アーユルヴェーダを学んでいたとき、“消化力をアップさせる”と教えてもらったんです。これを食事の30分前に食べると、ごはんを、よりおいしくいただけます」
消化力がアップするということは、おなかが空っぽになるまでが早いということ。アーユルヴェーダでは、未消化のものが胃に残っている状態こそ病気の元ともいわれています。これを口にすることで、たくさん食べられるだけでなく、眠る前には、胃の中がすっきりするため、体によいのです。
ごはんをおいしくいただきたいときに、料理をしながら、ささっとつくる。しょうがの薄切り6〜8枚に、ヒマラヤ岩塩を1~2つまみ、まぶす。しんなり水けが出てきたら、好みでレモンをしぼって。「ポイントは、ヒマラヤのピンクの岩塩を使うこと。それ以外の塩だと、このまろやかな味わいは出ないんです」
[麦茶の代わりに] クミンティー
さらに、消化を助けるアイテムとして、クミンティー。そういえば、インド料理店でもよくレジ横に、「食後にどうぞ」なんてクミンシードが置いてあります。
「クミンを?なんて驚かれますけれど、想像よりも全然、お茶にするとクセがないんですよ。胃が弱りがちな夏場でも、毎日飲んでいると元気に過ごせます」
胃腸の働きを助けるスパイスとして知られるクミン。老廃物や腸内ガス排出にも効果があるとされている。カレーに使われるイメージが強いけれど、お茶にしてみると、意外なほどあっさり。クミンシード大さじ1をから炒りし、1Lの熱湯で1~2分、抽出する。夏場は、水出しで味わうと、よりやわらかな味わい。
[食欲がないとき] チコリコーヒー
おなかがすいているけれど、何も食べたいものがない。そんなわがままには、チコリコーヒーを。ノンカフェインのため、胃を疲れさせることなく、ミルクがじんわり体に染みわたっていきます。
デトックス効果があり肝臓によいとされるチコリの根を乾燥させ、焙煎したコーヒー。たっぷりのミルクに溶かして味わう。「おなかはすいているのだけれど固形物は口にしたくないときに、ぴったりなんです。ミルクベースなので、おやつのような感覚で、ほどよく、“食べたい気持ち”を満足させられます」
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〈撮影/村林千賀子 取材・文/福山雅美〉
口尾麻美(くちお・あさみ)
書籍や雑誌、料理教室などで、旅からインスピレーションを受けたレシピを伝える。著書は『まだ知らない 台湾ローカル 旅とレシピ』(グラフィック社)など多数。クスクスの魅力をもっと知ってもらうべく立ち上げた「クスクス スマイル プロジェクト」の活動も積極的に行っている。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです