イタリアに住むうちに修道院菓子に魅了された佐藤礼子さんに、北イタリアの修道院に伝わる伝統菓子「りんごのケーキ」のつくり方を教わります。お茶時間のおともに、異国気分を味わってみませんか。
(『天然生活』2023年12月号掲載)
(『天然生活』2023年12月号掲載)
素朴ながらも、自然の恵みが広がる「修道院菓子」
キリスト教の総本山バチカン市国を抱えるイタリアで6世紀に生まれた修道院。
ローマ郊外のモンテ・カッシーノの山中でベネディクトゥスが提唱した「祈り。働け」をモットーに、同じ信仰を持つ者が生活を共にしたのが始まりと言われています。
修道院では自給自足を目指し、菓子づくりに必要な麦、卵、乳製品などの材料は院内の農園でつくっています。
中庭に実る果実を使ったケーキやタルト、アーモンドやローズウォーターなどを練り込んだ菓子は、頬張ると口いっぱいに自然の恵みが広がり、素朴な風貌からは想像ができないおいしさ。
良質な食材でつくるシンプルな菓子は修道女たちの週末やお祝い行事のささやかな楽しみです。
また、薬草学の知識が体系化されたのも修道院。
ハーブティーで病人を治療し、リキュールで巡礼者をいやすなど、長らく病院や薬局の役目も果たしてきました。
そのせいか、修道院菓子とハーブティーの相性はとてもよいのです。
週末は、あなたのお気に入りの組み合わせを見つけて、ゆったりとリラックスした時間を過ごしてみてはいかがでしょうか?
〈料理・文/佐藤礼子 撮影/在本彌生 スタイリング/曲田有子〉
佐藤礼子(さとう・れいこ)
イタリア・シチリア在住。「ラ ターボラシチリアーナ」主宰。2004年にイタリアに渡り、郷土料理、郷土菓子を学ぶ。修道院菓子の背景を盛り込んだレシピ本『イタリアの修道院菓子』(誠文堂新光社)が発売中。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです