• 人生100年時代といわれる昨今。92歳の評論家・樋口恵子さんに、誰もがいずれ経験するであろう「老後の悩みや不安」を解決するヒントを教えていただきました。本記事では、『老いてもヒグチ。転ばぬ先の幸せのヒント』(清流出版)より、介護の現場を心地よくするための「ケアされ上手」の心得と、もの忘れや認知症の対策についてご紹介します。

    誰でもいつかは介護される人に

    後期高齢者になると、介護する人の技術も大事だけれど、それ以上に介護される人の態度が介護の要になる、と思うようになりました。

    そのきっかけになったのが、一般の方の介護体験記を1冊の本にまとめた時のこと。

    数ある体験記のなかで、最も印象に残ったのは、「長女の家に引き取られて介護を受け、102歳で亡くなった女性の話」で、長女の方が書かれたものでした。

    その高齢女性は、介護される者の心得ともいうべき信条を実践し、家族と介護スタッフに感謝し、機嫌よく過ごされたといいます。

    その心得とは、①命令しない、②反対しない、③不足をいわない、④小言をいわない、⑤怒らない、の5つ。これなら介護する人も楽です。

    これを機に私は、「ケアされ上手」という言葉を使い始めました。

    年老いて自分を律するのは難しいことですが、はやいうちから、「いずれは自分が介護を受ける側になる」という心づもりだけはしておいたほうがよさそうです。

    人はいずれ、誰かの世話にならないと生きていけないのですから。

    ※ 本記事は『老いてもヒグチ。転ばぬ先の幸せのヒント』(清流出版)からの抜粋です。

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    『老いてもヒグチ。転ばぬ先の幸せのヒント』(樋口恵子・著/清流出版・刊)

    画像: 92歳、機嫌よく介護されるための「ケアされ上手」の心得。誰でもいつかは“介護される人”になる。もの忘れや認知症の対策も/評論家・樋口恵子さん

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    経験、実感、調査データからひも解く、ヨタヘロ期のココロエ。
    わたくし92歳。ムリせず、楽しく、少しがんばって、暮らしています。

    【目次】
    はじめに 幸せな「老い」を生ききるために
    第1章 人生一〇〇年時代の「老い」とは
    第2章 老いに必要な、ライフスタイルを身につける
    第3章 健康管理・危機管理は人の手も借りて万全に
    第4章 自分の気持ちを大切にする人生の終い方
    第5章 この先も人生の主人公。前向きに生きるには
    おわりにかえて 私のターニングポイントと、力を注いできたこと


    画像: 認知症が疑われる場合は、はやめに検査を

    樋口恵子(ひぐち・けいこ)
    1932年、東京都生まれ。東京大学文学部卒業。時事通信社、学習研究社、キヤノン株式会社を経て、評論活動に入る。政府の男女共同参画会議の委員などを歴任。介護保険制度創設に尽力するなど、女性や介護、高齢者問題に深くかかわり、執筆や講演などに力を注ぐ。NPO法人「高齢社会をよくする女性の会」前理事長(現在は名誉理事長)。著書に『老いの福袋 あっぱれ!ころばぬ先の知恵88』『老いの上機嫌 90代!笑う門には福来る』(ともに中央公論新社)など多数。



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