90代女性の7割が認知症に!? 記憶を補うコツとは
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私は昭和7年生まれの92歳ですが、最近の統計によれば、女性のおよそ半数(50.1%)が90歳の誕生日を迎えることができるそうです。
一方、認知症がある人の割合を年代別に見たデータは、男女ともに80代から急上昇し、90代まで長生きした女性の7割以上に認知症があります。つまり、私が認知症の仲間入りをする確率は非常に高いのです。
私は70歳で定年を迎えるまで大学の教員をしていました。講義をするクラスと内容は曜日によって変わるので、「今日は何曜日か」を間違うことはありませんでした。
しかし最近、今日が何曜日なのかわからない時があるのです。
取材などの仕事があるときはしっかり認識していますが、用事がなければどうでもいいと思うのでしょう。
「曜日がわからない」を防止するためにおすすめしたいのが、カレンダーの活用です。
例えば、月曜は体操に行く、お弁当が来るのは火曜と金曜など、曜日が決まっている用件を書き込んでおき、毎日確認するのです。
わが家ではカレンダーを住まいの要所要所にかけてあり、どのカレンダーにも病院に行く日や来客の予定などを記入しています。
つまり、カレンダーへの記録が記憶装置になっているのです。
※ 本記事は『老いてもヒグチ。転ばぬ先の幸せのヒント』(清流出版)からの抜粋です。
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経験、実感、調査データからひも解く、ヨタヘロ期のココロエ。
わたくし92歳。ムリせず、楽しく、少しがんばって、暮らしています。
【目次】
はじめに 幸せな「老い」を生ききるために
第1章 人生一〇〇年時代の「老い」とは
第2章 老いに必要な、ライフスタイルを身につける
第3章 健康管理・危機管理は人の手も借りて万全に
第4章 自分の気持ちを大切にする人生の終い方
第5章 この先も人生の主人公。前向きに生きるには
おわりにかえて 私のターニングポイントと、力を注いできたこと
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樋口恵子(ひぐち・けいこ)
1932年、東京都生まれ。東京大学文学部卒業。時事通信社、学習研究社、キヤノン株式会社を経て、評論活動に入る。政府の男女共同参画会議の委員などを歴任。介護保険制度創設に尽力するなど、女性や介護、高齢者問題に深くかかわり、執筆や講演などに力を注ぐ。NPO法人「高齢社会をよくする女性の会」前理事長(現在は名誉理事長)。著書に『老いの福袋 あっぱれ!ころばぬ先の知恵88』『老いの上機嫌 90代!笑う門には福来る』(ともに中央公論新社)など多数。