(『天然生活』2025年6月号掲載)
まさこさんのレシピを妹・統子さんが再現し、食卓へ
そして統子さんは、まさこさんの強い願いのひとつである「未来にレシピを伝えること」を託されているひとりでもあります。
「子どもにナチュラルでおいしいものを食べさせたい」と、台所に立ちつづけてきたまさこさんからレシピを受け取った統子さんはいま、その味を再現して、まさこさん家族の食卓に並べています。
「『下ごしらえにここまで手をかけるんだ』『このドレッシングも手づくり?』と、姉のレシピのこだわりには驚くことばかり。でも、レシピ通りにつくると、やっぱりおいしいんですよね」
それを食べるふたりの子どもたちも、まさこさんの味を受け継ぐ強力なサポーターです。
とくに琳さんは、気づけば料理が大好きに。近頃は玉子焼きも上手に焼けるようになってきました。

琳さんは小さなころから料理のお手伝いが大好き
「彼女にとっては、母親が車椅子に座っているのが当たり前の状態なんです」という賢介さんの言葉に、はっとさせられます。
「まさこには、娘を自分の力で抱くことができないなど、もどかしさがたくさんあると思います。でも琳は、そんな状況をだれより自然に受け入れているのかもしれません」

この日は夫の賢介さんが介助を担当。体に力が入らないため、移動する際は全身を支える

座るときは足を心地よい位置に整えることも大切

「できるだけ歩きたい」というまさこさんの願いにこたえ、室内には手すりを設置。
〈撮影/いわいあや 取材・文/玉木美企子 協力/田中 文(キッチンパラダイス)〉
* * *
天然生活2025年6月号と7月号では、福岡にある喫茶店「サウンズフード サウンズグッド」店主のまさこさんを取材しました。
6月号では、ALS発症のことや家族や友人とのつながりのお話などを、7月号では、まさこさんが未来に伝えたいレシピ、そして大切な調味料や道具について教えてもらいました。
ぜひお読みいただけましたら幸いです。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです