ポジティブとネガティブ、どちらもわたし
「前向きでいなきゃ」
「弱音を吐いちゃだめ」
そんなふうに思い込んで、ネガティブな気持ちを心の奥に押し込めていた時期がありました。
でもある日、ふたをしていた感情がとうとう溢れ出して、大きな声で泣いてしまったんです。
どれくらい泣いたのか、自分でもわからないほどずっと泣いていました。
ですが、泣き止んだときには不思議なほど心が軽くなっていて――
あぁ、わたし、ネガティブな気持ちだってちゃんと抱きしめてよかったんだ、と気がつきました。
落ち込む日があるからこそ、笑える日がいとおしい。
どちらもわたしにとって、なくてはならない感情だったのです。
無理に明るくならなくてもいい。
泣いたって、立ち止まったって、それでも前に進める。
そんなふうに、自分らしく、ありのままで生きていけたら――
そう思えるようになりました。

〈撮影/いわいあや 協力/田中 文(キッチンパラダイス)〉
まさこ
1981年、喫茶モーニングの街・愛知県豊橋市に生まれる。カフェオーナーだった賢介さんと結婚し、家族で日本と海外を行き来する生活を送った後、2018年に福岡でカフェ「サウンズフード サウンズグッド」をオープン。2021年、長女・琳さんを出産後、足から違和感を感じるようになり、2023年にALSの診断を受ける。失意の底に突き落とされるが、自然治癒の症例もあると知り、その可能性に希望を見いだして生きることを決意。現在は「#何処かで誰かの希望となりますように」を合言葉に、これまで考案してきたレシピを記録に残す活動を開始している。
インスタグラム:@sfsg_masako