• 2023年6月、ALS(筋萎縮性側索硬化症)と診断されたまさこさん。少しずつ体が動かなくなっていく進行性の病気とともに生きながら、家族との一日一日を大切に過ごしています。このエッセイでは、まさこさんの日々の暮らしや思い、そして、喫茶店の店主として、母として、数々の料理をつくり続けてきたまさこさんの“未来に届けたいレシピ”などをつづっていきます。今回は、「ALSと診断されてからのお話」です。

    ポジティブとネガティブ、どちらもわたし

    「前向きでいなきゃ」

    「弱音を吐いちゃだめ」

    そんなふうに思い込んで、ネガティブな気持ちを心の奥に押し込めていた時期がありました。

    でもある日、ふたをしていた感情がとうとう溢れ出して、大きな声で泣いてしまったんです。

    どれくらい泣いたのか、自分でもわからないほどずっと泣いていました。

    ですが、泣き止んだときには不思議なほど心が軽くなっていて――

    あぁ、わたし、ネガティブな気持ちだってちゃんと抱きしめてよかったんだ、と気がつきました。

    落ち込む日があるからこそ、笑える日がいとおしい。

    どちらもわたしにとって、なくてはならない感情だったのです。

    無理に明るくならなくてもいい。

    泣いたって、立ち止まったって、それでも前に進める。

    そんなふうに、自分らしく、ありのままで生きていけたら――

    そう思えるようになりました。

    画像: ポジティブとネガティブ、どちらもわたし

    〈撮影/いわいあや 協力/田中 文(キッチンパラダイス)〉

    まさこ
    1981年、喫茶モーニングの街・愛知県豊橋市に生まれる。カフェオーナーだった賢介さんと結婚し、家族で日本と海外を行き来する生活を送った後、2018年に福岡でカフェ「サウンズフード サウンズグッド」をオープン。2021年、長女・琳さんを出産後、足から違和感を感じるようになり、2023年にALSの診断を受ける。失意の底に突き落とされるが、自然治癒の症例もあると知り、その可能性に希望を見いだして生きることを決意。現在は「#何処かで誰かの希望となりますように」を合言葉に、これまで考案してきたレシピを記録に残す活動を開始している。
    インスタグラム:@sfsg_masako



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