(『天然生活』2024年9月号掲載)
麻生さんの家族の言葉集、4選
1 パートナーの英治さんや家族のような友人たちと囲む日々の食卓は、僕にとって掛け替えのない時間。その日の出来事、近況報告、これからの話、喜びや悲しみも、我が家の食卓では皆、時を忘れて話し込む。
『僕の献立~本日もお疲れ様でした~』(光文社)
2 気づいたら、亡くなった父よりも歳上になっている。当時の僕には、父はずいぶんと大人に見えていたけれど、心の内はどうだったのかなあ。
『365 僕のたべもの日記』(光文社)
3 良い事も、そうでない事も、人生はいつ何があるかなんて分からない。だからこそ、愛する人たちと語らい、味わい、分かち合う食卓は僕にとって大切な時間だ。作る側も、食べる側も、食卓から湧いてくるエネルギーがあると僕は信じている。
『僕の献立~本日もお疲れ様でした~』(光文社)
4 母が亡くなってしばらくの間は、愛猫チョビとふたり暮らし。その期間、僕は誰のためでもなく、自分のためにごはんを作っていた。(中略)
料理は誰かのために作ったほうが美味しいというその「誰か」とは、 向こう側の人のこともそうだけれど、当然ながら「自分」という存在も含まれている。
今夜はこれが食べたい、ちょっと疲れているから、 昨日外食だったからなあ……
手をかけ、手を抜き、自分をいたわりながら手を動かして膳を仕上げていくのは、 大切な時間であると僕は思っている。
『僕のいたわり飯』(光文社)
〈撮影/杉能信介 取材・文/福山雅美 構成/鈴木麻子〉
麻生要一郎(あそう・よういちろう)
1977年、茨城・水戸市にて、手広く事業を行なう一族のひとり息子として誕生。その後、とある姉妹の養子となる。雑誌へのレシピ提供、食や暮らしに関する執筆を行い、著書に『僕の献立』『僕のいたわり飯』『365 僕のたべもの日記』(すべて光文社)など。
インスタグラム:@yoichiro_aso
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです