• 2023年6月、ALS(筋萎縮性側索硬化症)と診断されたまさこさん。少しずつ体が動かなくなっていく進行性の病気とともに生きながら、家族との一日一日を大切に過ごしています。このエッセイでは、まさこさんの日々の暮らしや思い、そして、喫茶店の店主として、母として、数々の料理をつくり続けてきたまさこさんの“未来に届けたいレシピ”などをつづっていきます。今回は、「苦しみの底から救われた言葉」です。

    救われたひと言

    数年前、苦しみの底から自分を取り戻せたのは、誰もが一度は耳にしたことのある、たったひとつの言葉がきっかけでした。

    ALS(筋萎縮性側索硬化症)という病名がつく前、私は毎日が不安でいっぱいでした。

    原因もわからないまま症状はどんどん進行します。眠れぬ夜が続きました。

    「もしこの予想が現実になったら――」

    恐怖と絶望で身体はさらにこわばり、息をするのも苦しかったです。

    ある日、心も体も限界で、ついに子どもたちの前で泣き崩れてしまいました。

    「ごめんね……ごめん。ママ、ALSかもしれないの……」

    すると、すでに病気のことを知っていた息子が、私をまっすぐ見ていったのです。

    「ママ、大丈夫だよ。ママなら大丈夫!」

    その瞬間、張りつめていた糸がふっとほどけました。

    「……そうだね。そうだね。だんだん大丈夫な気がしてきた」

    涙が止まり、部屋の空気もやわらかく変わったように感じた、忘れられないひとときでした。

    画像: 救われたひと言

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    ▼「難病ALSとともに生きる」第1話からはこちら

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    ▼『FBS福岡放送ニュース』での取材動画はこちら

    画像: 言葉を味方にすると、世界は少し明るく見える。難病ALSの“恐怖と絶望”から私を救った「息子のひと言」|難病ALSとともに生きる/まさこ

    https://youtu.be/Gvp1U12mPVo?si=3Q2WyfGEejuLW7Cs


    〈撮影/いわいあや 協力/田中 文(キッチンパラダイス)〉

    まさこ
    1981年、喫茶モーニングの街・愛知県豊橋市に生まれる。カフェオーナーだった賢介さんと結婚し、家族で日本と海外を行き来する生活を送った後、2018年に福岡でカフェ「サウンズフード サウンズグッド」をオープン。2021年、長女・琳さんを出産後、足から違和感を感じるようになり、2023年にALSの診断を受ける。失意の底に突き落とされるが、自然治癒の症例もあると知り、その可能性に希望を見いだして生きることを決意。現在は「#何処かで誰かの希望となりますように」を合言葉に、これまで考案してきたレシピを記録に残す活動を開始している。
    インスタグラム:@sfsg_masako

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    ▼『天然生活』2025年6月号掲載のまさこさんの記事を公開中です。ぜひ合わせてお読みいただけましたら幸いです。



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