• 2023年6月、ALS(筋萎縮性側索硬化症)と診断されたまさこさん。少しずつ体が動かなくなっていく進行性の病気とともに生きながら、家族との一日一日を大切に過ごしています。このエッセイでは、まさこさんの日々の暮らしや思い、そして、喫茶店の店主として、母として、数々の料理をつくり続けてきたまさこさんの“未来に届けたいレシピ”などをつづっていきます。今回は、「苦しみの底から救われた言葉」です。

    捉え方は、自分次第

    このとき、息子の言葉を素直に受け入れることができたことで、私は「本当に大丈夫」だと思えるようになりました。心がふっと軽くなり、前を向く力が湧いてきたのです。

    もしあのとき、「そんなわけない!」と拒絶していたら、今こうして前向きに生きる自分は存在しなかったかもしれません。

    誰かがかけてくれるひと言の本当の意味は、きっと本人にしか分かりません。でも、マイナスでない言葉なら、私はありがたく言葉のままを受け取り、自分のエネルギーに変えたいと思うのです。

    「頑張れ」と言われたら、「応援してくれてありがとう」と。「大変だったね」と寄り添われたら、「気にかけてくれてありがとう」と。

    そんなふうに言葉を受け取ると、心に小さな光が灯るような気がします。

    いつも心に太陽を

    画像: いつも心に太陽を

    言葉を味方につけると、落ち込む時間が短くなり、世界が少し明るく見えてきます。

    私がアメリカで暮らすように旅をしていたころ、街を歩いていて見知らぬ人に声をかけられることがよくありました。

    「あなたの靴、素敵ね」「その髪型、可愛い!」

    そんな言葉をかけてもらえると、疲れていたとしても気分が良くなるのです。

    褒められたモノに愛着がわき、自分の自信も少しずつついていく。これはきっと、誰にでも起こせる魔法です。

    褒めたり、褒められたり――

    ポジティブな言葉をかけあうって、本当に素敵な文化なんだと実感しました。

    だから私は、言葉をかけるときも受け取るときも、心を前向きにしておきたい。

    いい言葉は考えすぎず、まっすぐに受け取る――

    それが私の小さな魔法の習慣です。

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    ▼「難病ALSとともに生きる」第1話からはこちら

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    ▼『FBS福岡放送ニュース』での取材動画はこちら

    画像: 言葉を味方にすると、世界は少し明るく見える。難病ALSの“恐怖と絶望”から私を救った「息子のひと言」|難病ALSとともに生きる/まさこ

    https://youtu.be/Gvp1U12mPVo?si=3Q2WyfGEejuLW7Cs


    〈撮影/いわいあや 協力/田中 文(キッチンパラダイス)〉

    まさこ
    1981年、喫茶モーニングの街・愛知県豊橋市に生まれる。カフェオーナーだった賢介さんと結婚し、家族で日本と海外を行き来する生活を送った後、2018年に福岡でカフェ「サウンズフード サウンズグッド」をオープン。2021年、長女・琳さんを出産後、足から違和感を感じるようになり、2023年にALSの診断を受ける。失意の底に突き落とされるが、自然治癒の症例もあると知り、その可能性に希望を見いだして生きることを決意。現在は「#何処かで誰かの希望となりますように」を合言葉に、これまで考案してきたレシピを記録に残す活動を開始している。
    インスタグラム:@sfsg_masako

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    ▼『天然生活』2025年6月号掲載のまさこさんの記事を公開中です。ぜひ合わせてお読みいただけましたら幸いです。



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