前回に引き続き、住まいの工夫をお届けしていきます。台所、家具、水まわりや庭など……。自分で気軽にできる住まいのお手入れ方法や、小さな工夫をご紹介していきますね。
今回は、築110年以上になる町家で使っている、家具や建具などのお手入れについてお伝えしていきます。
わが家にぴったりの水屋箪笥
わが家にある、もっとも大きな家具。それが吹き抜けのある中の間(居間)にある、大正時代の水屋箪笥(みずやだんす)です。幅2mほど、高さ1.8mほどのたんすは、夫とまだ幼かった娘と出かけた先で偶然見つけた、古道具屋の店先にあったもの。
この家に越してきた18年前。物もなくがらんとしていた居間に、家と同じぐらいのときを重ねたたんすがあったらいい景色だろうな、と夫とよく話していました。
が、探せども探せども、理想のひと棹(ひとさお)は見つからず。あまりに大きすぎてわが家にそぐわなかったり、逆に小さすぎたり。かと思えば、サイズは理想的でもピカピカにニスを塗られ、修繕されていたりして、がっかりしたこともありました。
それが、このたんすは前の持ち主からその古道具屋に届いたばかりで、なんと大正時代から老舗の時計屋さんで使われていたそう。そのせいで古いストーブのすす汚れがついていたり、ネズミのかじり跡があったり。
けれど、長い年月のなかで大切に使われていたのか全体的にほどよいつやがあり、つくりもしっかりとしている様子。その場ですぐに購入を決め、磨きやニスは施さず、最低限の修繕だけしてもらってわが家に届けていただいたのでした。

玄関から入ってすぐの吹き抜けのある部屋の主役は、この水屋箪笥。上半分と下半分は分割して使うこともできるのだそう
余談ですが、納品に来てくださったご主人が「修繕していて面白いものを見つけましたよ」とおっしゃるので、引き出しを外した奥をのぞき込んでみると、そこには手づくりだろうと思われる粗末な隠し扉がありました。
「もしかしたら丁稚さんがへそくりを隠してはったんかもしれませんねえ」とご主人はにんまり。そんなロマンあふれる隠し扉、いまは息子がお小遣いを隠す場所として使っています。
たんすの手入れについて古道具屋さんに教えてもらったことは、たまに椿油を染み込ませた布で磨いてあげること。引き出しの滑りが悪くなったら、蝋を引いて滑らせてあげること。
教わった通りにときどき手を入れ、日々使う食器や乾物、日用品を出し入れしながら毎日大切に使い続けています。
〈写真・文/美濃羽まゆみ 構成/山形恭子〉

美濃羽まゆみ(みのわ・まゆみ)
服飾作家・手づくり暮らし研究家。京町家で夫、長女ゴン(2007年生まれ)、長男まめぴー(2013年生まれ)、猫2匹と暮らす。細身で肌が敏感な長女に合う服が見つからず、子ども服をつくりはじめたことが服飾作家としてのスタートに。
現在は洋服制作のほか、メディアへの出演、洋裁学校の講師、ブログやYouTubeでの発信、子どもたちの居場所「くらら庵」の運営参加など、多方面で活躍。著書に『「めんどう」を楽しむ衣食住のレシピノート』(主婦と生活社)amazonで見る 、『FU-KO basics. 感じのいい、大人服』(日本ヴォーグ社)amazonで見る など。
ブログ:https://fukohm.exblog.jp/
インスタグラム:@minowa_mayumi
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