(『天然生活』2019年1月号掲載)
時間がおいしくする、おもてなしの「まかせ料理」
来客が多い年末年始は時間をかけた豪華なお料理をつくりたいと意気込んではみるものの、現実的には時間に追われて難しいことも多いのではないでしょうか。
そこで、おすすめの料理を、料理上手で段取り上手な横山タカ子さんにお聞きしました。
「毎年、年末年始は子どもや孫たちが集まり、気忙しく過ごします。この時季は 火まかせの煮込み鍋、時間まかせの漬物や煮もの、オーブンまかせの焼きもの などがおすすめ。わが家の場合薪ストーブまかせ、というのも多いですよ」
素材を切って、あとは鍋を火にかけておけば、まな板があいてほかの料理もつくれるし、あいた時間を大掃除などの家事にあてることもでき、年末年始にもってこいなのだとか。
また、まかせ料理に使う食材も、ふだんとさほど替える必要はない、と横山さんはいいます。
「ただ、漬物には、ピンク色になる紫大根や、鮮やかな黄色が華やかな菊の花を使うなど、彩りを考えて漬けることが大切です。おせちにも使えますし、何気ない焼きものでも、添えるだけでパッと華やかになります。さらに、盛りつけに漆器を使ったり、あしらいに南天を添えたりすると、いつものお料理に、よそゆき感が出て、気持ちがいいものです」
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ぶたと根菜のまかせ煮のつくり方
肉の表面を焼いたら、野菜を入れて、時間まかせに煮るだけ。
野菜は大きめに煮て、取り分けるときに崩します。翌日のほうが味がしみておいしくなります。
材料(つくりやすい分量)
● ぶた肩ロースかたまり肉 | 400g |
● 玉ねぎ(半分に切る) | 2個 |
● にんにく | 3片 |
● ごぼう(5cm長さに切る) | 1本(100g) |
● じゃがいも | 小10個 |
● キャベツ(半分に切る) | 1/2個 |
● にんじん(皮を除く) | 2本 |
● カリフラワー(半分に切る) | 1株 |
● 煮干し | 50g |
● 水 | 1リットル |
● A | |
・みりん | 大さじ2 |
・塩 | 小さじ1/2 |
・淡口しょうゆ | 大さじ3 |
● 油(菜種油など) | 大さじ1 |
● 水溶き和辛子 | 適量 |
つくり方
1 大鍋に油をひき、肉を入れ、表面の色が変わるまで焼く。
2 1の鍋に、にんにく、玉ねぎを入れ、香りが出たら、キャベツ、にんじん(大きいものは縦半分に切る)、カリフラワーを入れる。
3 煮干しはガーゼの袋などに入れて鍋に入れる。水、Aを加えて火にかける。沸騰したら弱火にし、ふたをして煮る。ごぼう、じゃがいもを竹串に刺し、すっと通れば、でき上がり。
4 煮干しを取り出して、ぶた肉を食べやすく切り、野菜とともに器に盛り、水溶き和辛子を添える。野菜を崩しながらいただく。
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〈料理/横山タカ子 撮影/本間 寛〉
横山タカ子(よこやま・たかこ)
料理研究家。長野県大町市生まれ、長野市在住。長年、保存食を中心とした長野の食文化を研究すべく各地に赴き、料理名人から教わる。長野県の特徴でもある、野菜をたっぷりと使った保存食は「適塩」で作り、季節の食材は手をかけすぎず、素材を生かしてシンプルに食べることを信条とする。地元の農作物を広める活動にも尽力。大の着物好きでもある。著書に、『信州四季暮らし』(扶桑社)など。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
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