• 塩と砂糖と水を混ぜただけの「塩糖水(えんとうすい)」に、肉や魚をひと晩漬けておくだけ。たったこのひと手間で、鶏ささ身がふっくら、しっとり、ジューシーに。そんな台所の大発見を、上田淳子さんに教えていただきました。今回は、鶏ささ身の塩糖水漬けを使った「ささ身チキンカツ」のつくり方を紹介します。
    (『天然生活』2021年7月号掲載)

    肉や魚が驚くほどしっとり仕上がる
    魔法の下ごしらえ・塩糖水漬け

    画像: ポリ袋に保存しておけば液が少量でいきわたる

    ポリ袋に保存しておけば液が少量でいきわたる

    「塩糖水漬けを知ってから『鶏むね肉やささ身が好物になった』という方がすごく多いんです」

    ‟塩糖水漬け普及委員会・委員長”の上田淳子さんは、うれしそうにポリ袋をシェイク。塩糖水漬けを始めてかれこれ25年、台所でいかに助けられてきたかと話します。

    鶏むね肉や豚ロース、たらやメカジキなど、脂肪分が少ない肉や魚は、加熱することで水分が抜けてパサつきがち。でも塩糖水漬けにしておくことで、保水性が高まってしっとりとした仕上がりに。

    塩が入ることで保存性もアップして、肉は4~5日、魚は2~3日、冷蔵庫で保存可能に。

    「出会いものの魚も、急いで食べなくていいと思ったら安心して買えますよね」

    シンプルな塩味なので、料理の展開がしやすいのもポイント。とはいえ、食材全体にムラなく下味がついているので、味がバッチリ決まりやすいのです。

    加熱しすぎにだけ気をつけて調理すれば、肉や魚がジューシーに。絶妙な塩加減が素材全体にしみているので、『まるで料理の腕が上がったよう』と喜ぶ人続出なんだとか。

    必要なのは、塩と砂糖と水だけ。あとは時間がおいしくしてくれます。この魔法を知ったら、あわただしい日々も恐るるに足らず。いろいろな食材を塩糖水漬けにして、ストックしておきたくなるはずです。

    画像: 台所に分量のメモを貼っておけば便利。著書『塩糖水漬けレシピ』(世界文化社)にはメモのおまけが

    台所に分量のメモを貼っておけば便利。著書『塩糖水漬けレシピ』(世界文化社)にはメモのおまけが

    塩糖水漬け
    基本のつくり方

    塩は自然塩を使用。砂糖は白くなくてもOK。

    画像: ポリ袋に材料を入れて、口を閉じてよく振れば塩糖水が数秒でできる

    ポリ袋に材料を入れて、口を閉じてよく振れば塩糖水が数秒でできる

    材料(2人分)

    画像: 肉や魚200gに対しての塩糖水の分量は水100mL、塩小さじ2/3、砂糖大さじ1/2

    肉や魚200gに対しての塩糖水の分量は水100mL、塩小さじ2/3、砂糖大さじ1/2

    ● 肉の場合
    (鶏むね肉、ささ身、豚ロースステーキ用、豚小間切れ肉など)
    200~250g程度
    ● 魚の場合(生さけ、メカジキ、鯛、たらなどの切り身)2切れ
    〈塩糖水〉
    ・水100mL
    ・塩小さじ2/3(3%)
    ・砂糖大さじ1/2(5%)

    つくり方

     筋切りや脂を除くなど、下処理が必要な肉は、処理をする。

     ポリ袋に塩糖水の材料を入れ、袋の口をぎゅっと握りよく振って、塩と砂糖を溶かす。

     に肉(魚)を入れ全体になじむように空気を抜いて口を閉じ、冷蔵庫におく。※薄切り肉は3時間以上、厚みのある肉はひと晩以上。

    保存期間

    冷蔵庫で、肉/4~5日、魚/2~3日

    *つくって翌日までは塩糖水漬けの状態で、それ以降は、漬け水を除く(味が濃くなりすぎるのを防ぐ)

    塩糖水漬けの鶏ささ身を使った
    ささ身チキンカツのつくり方

    画像: 塩糖水漬けの鶏ささ身を使った ささ身チキンカツのつくり方

    ふっくらやわらかになったささ身は、揚げてもしっとり。何もつけなくてもおいしいので、さっぱりたくさん食べられます。

    鶏ささ身の塩糖水漬け

    画像: 脂肪をほとんど含まず、あっさり上品な味。塩糖水漬けにすると、ジューシー食感に

    脂肪をほとんど含まず、あっさり上品な味。塩糖水漬けにすると、ジューシー食感に

    材料(2人分)

    ● 鶏ささ身・塩糖水漬け(上記参照)4~5本(250g)
    ● こしょう適量
    ● 薄力粉、溶き卵、パン粉適量
    ● 揚げ油適量
    ● 葉野菜(サラダ菜、せん切りキャベツなど)適宜
    ● レモン(くし形切り)適宜

    つくり方

     ささ身は水けをきり、ペーパータオルでしっかりふき、斜めに3等分に切る。

     こしょうをして、薄力粉を薄くまぶし、溶き卵、パン粉をつける。

     中温(170℃)に熱した揚げ油で、を2~3分からりと揚げ色がつくまで揚げる。油をしっかりきって、好みの葉野菜とともに盛りつけ、レモンを添える。

     
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    〈料理/上田淳子 撮影/柳原久子https://water-fish.co.jp/ スタイリング/竹内万貴 取材・文/鈴木麻子〉

    画像: つくり方

    上田淳子(うえだ・じゅんこ)
    レストランで修業後、料理家に。塩糖水漬けレシピを網羅した『おいしくなって保存もきく! 塩糖水漬けレシピ』(世界文化社)が好評発売中。

    ※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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