歳をとったらすべてが「億劫(老っ苦う)」
後期高齢者の仲間入りとともに湧いてくる億劫の虫。
食卓を整えるのも、お風呂に入ることさえも、なかなか行動に移す気になりません。
体を動かさないと次に進めないので、「エイッ!」と気合いを入れて無理やり自分を鼓舞している状態です。
億劫は「老っ苦う(おっくう)」。
これを老っ苦うといわずして何と呼べばいいのでしょう。まさに、老いの苦しみとの闘いです。
友だちに会いに行くのも、以前はあんなに楽しみにしていたのに、いまは雨でも降ろうものなら、出かけるのが億劫でやめてしまうありさま。
家で寝っ転がって、テレビでもみていたほうが楽だと思うからです。
「これではいけない」と思い直し、そのたびに、億劫を追い払っているわけですが、闘い過ぎると疲れ果て、逆に生きる気力が萎えてきます。
がんばりが効かないのも、また老いなのです。
※ 本記事は『老いてもヒグチ。転ばぬ先の幸せのヒント』(清流出版)からの抜粋です。
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経験、実感、調査データからひも解く、ヨタヘロ期のココロエ。
わたくし92歳。ムリせず、楽しく、少しがんばって、暮らしています。
【目次】
はじめに 幸せな「老い」を生ききるために
第1章 人生一〇〇年時代の「老い」とは
第2章 老いに必要な、ライフスタイルを身につける
第3章 健康管理・危機管理は人の手も借りて万全に
第4章 自分の気持ちを大切にする人生の終い方
第5章 この先も人生の主人公。前向きに生きるには
おわりにかえて 私のターニングポイントと、力を注いできたこと
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樋口恵子(ひぐち・けいこ)
1932年、東京都生まれ。東京大学文学部卒業。時事通信社、学習研究社、キヤノン株式会社を経て、評論活動に入る。政府の男女共同参画会議の委員などを歴任。介護保険制度創設に尽力するなど、女性や介護、高齢者問題に深くかかわり、執筆や講演などに力を注ぐ。NPO法人「高齢社会をよくする女性の会」前理事長(現在は名誉理事長)。著書に『老いの福袋 あっぱれ!ころばぬ先の知恵88』『老いの上機嫌 90代!笑う門には福来る』(ともに中央公論新社)など多数。