• 2023年6月、ALS(筋萎縮性側索硬化症)と診断されたまさこさん。少しずつ体が動かなくなっていく進行性の病気とともに生きながら、家族との一日一日を大切に過ごしています。このエッセイでは、まさこさんの日々の暮らしや思い、そして、喫茶店の店主として、母として、数々の料理をつくり続けてきたまさこさんの“未来に届けたいレシピ”などをつづっていきます。今回は、「大好きだった料理ができなくなって気づいたことのお話」です。

    出来なくなって気付いたこと

    ALS(筋萎縮性側索硬化症)になって、はや数年。

    病の進行とともに、足の力が抜け、やがて手も動かなくなりました。

    いま、大好きだった料理から遠ざかって一年半が過ぎようとしています。

    いまはそばで支えてくれる妹と介護ヘルパーさんが、毎日の食事を支えてくれています

    画像1: 出来なくなって気付いたこと

    はじめのころは、誰かがつくってくれる料理を食べられることがうれしくて、外食に出かけたときのような特別感を楽しんでいました。

    キッチンから響く包丁のリズムやフライパンの音、漂ってくる香りは、私を想像の台所へ立たせてくれました。

    けれど食べ進めるうち、ふと考えてしまうのです――

    「もし自分なら、どうつくるだろう?」と。

    次第に、自分のつくった味を恋しく感じるようになりました。

    そこで私は、元気なころにつくっていたレシピを書き起こすことに決めました。

    もともと喫茶店のキッチンに立っていたときもレシピは書いていましたが、味見をしながら変える癖があり、最終的な味を正確には残せていませんでした。

    戸惑いながらも書き出し、それを妹につくってもらい、修正を重ねるうちに、次第に“私の味”に近づいていきました。

    画像2: 出来なくなって気付いたこと

    いまでは、思い描いた味をほぼ完ぺきに再現することができています。

    そして、そのレシピでつくってもらった料理を家族や友人が「おいしい!」といってくれた瞬間、心の深いところから喜びがこみ上げてくるのです。

    ――ああ、私が料理を好きな理由は「誰かを喜ばせたいから」だったのだ。

    喜んでもらうことこそが、私にとっての幸せなのだと気付いたのです。


    〈撮影/いわいあや 協力/田中 文(キッチンパラダイス)〉

    まさこ
    1981年、喫茶モーニングの街・愛知県豊橋市に生まれる。カフェオーナーだった賢介さんと結婚し、家族で日本と海外を行き来する生活を送った後、2018年に福岡でカフェ「サウンズフード サウンズグッド」をオープン。2021年、長女・琳さんを出産後、足から違和感を感じるようになり、2023年にALSの診断を受ける。失意の底に突き落とされるが、自然治癒の症例もあると知り、その可能性に希望を見いだして生きることを決意。現在は「#何処かで誰かの希望となりますように」を合言葉に、これまで考案してきたレシピを記録に残す活動を開始している。
    インスタグラム:@sfsg_masako

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    ▼『天然生活』2025年6月号掲載のまさこさんの記事を公開中です。ぜひ合わせてお読みいただけましたら幸いです。



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