• 2023年6月、ALS(筋萎縮性側索硬化症)と診断されたまさこさん。少しずつ体が動かなくなっていく進行性の病気とともに生きながら、家族との一日一日を大切に過ごしています。このエッセイでは、まさこさんの日々の暮らしや思い、そして、喫茶店の店主として、母として、数々の料理をつくり続けてきたまさこさんの“未来に届けたいレシピ”などをつづっていきます。今回は、「大好きだった料理ができなくなって気づいたことのお話」です。

    想い出のかけらと料理

    画像: 想い出のかけらと料理

    子どものころから食への好奇心が旺盛だった私は、味や香りを感じると瞬時に記憶がよみがえることがよくあります。

    その感覚は、私のつくる料理に深い影響を与えていると思います。

    いりこのだしの香りからは、朝の台所に立つ母の姿。

    油のはねる音は、祖母が揚げてくれたポテトを兄弟で奪い合った記憶。

    チョコレートトリュフは、初めて好きな人のためにつくったお菓子の甘酸っぱい思い出。

    ジェノベーゼの香りは、お気に入りのカフェでいつも注文した絶品パスタ。

    前回紹介した「グリルドコーンポタージュ」のレシピもそう。

    ニューヨークで、歩き始めたばかりの息子を連れて訪れたキューバ×メキシカン料理屋でいただいたメニューを再現したものでした。

    こうして記憶の中の音・香り・味が幾重にも重なり、私の料理はできているのです。

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    ▼「グリルドコーンポタージュ」のレシピはこちら


    〈撮影/いわいあや 協力/田中 文(キッチンパラダイス)〉

    まさこ
    1981年、喫茶モーニングの街・愛知県豊橋市に生まれる。カフェオーナーだった賢介さんと結婚し、家族で日本と海外を行き来する生活を送った後、2018年に福岡でカフェ「サウンズフード サウンズグッド」をオープン。2021年、長女・琳さんを出産後、足から違和感を感じるようになり、2023年にALSの診断を受ける。失意の底に突き落とされるが、自然治癒の症例もあると知り、その可能性に希望を見いだして生きることを決意。現在は「#何処かで誰かの希望となりますように」を合言葉に、これまで考案してきたレシピを記録に残す活動を開始している。
    インスタグラム:@sfsg_masako

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    ▼『天然生活』2025年6月号掲載のまさこさんの記事を公開中です。ぜひ合わせてお読みいただけましたら幸いです。



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