(『天然生活』2016年8月号掲載)
身近な葉っぱを干してつくる、ひと味違うお茶
どくだみ、よもぎ、びわや柿の葉……庭や裏山などに生えている草木を干して野草茶にすると、いつもとひと味違う、おいしいお茶ができるのをご存じですか?
「私が『七草』で野草茶を出すようになったのは、『ここに来たからこそ飲めるお茶はありませんか?』と、なじみのお客さんにいわれたのがきっかけ。それまでは、番茶や緑茶など、定番のお茶を出していたのですが、“七草ならでは”ということで、身近なよもぎやどくだみ、食材として使うせりやみつばの根っこ、ローズマリーやミントなどのハーブを乾燥させてブレンドしてみたところ、料理とも相性がよかったんです」

野草を摘むときは、人やペットや車の往来が多い道端のものは避け、なるべくきれいなものを選んで。右から時計回りに、つやつやした大きな葉がまろやかなプーアール茶のような味のびわ、茎ごと干して使えるのが苦味のあるどくだみ、香ばしくなる柿の葉は柔らかく、生長著しい初夏のころに収穫。そのほか、青々とした香りが魅力のよもぎもおすすめ。
前沢リカさんがつくる野草ブレンドは、体によい効果がある、という健康志向ありきではなく、食事中にもおいしく飲めるお茶。
「慣れるまでは、ふだん飲んでいる番茶や緑茶に少し混ぜてみる、というのがよいと思います。たとえば、どくだみだけの野草茶だと、独特の苦味やクセがあって飲みにくいけれど、はと麦にどくだみを少し足せば、どくだみが、ほどよいアクセントに。慣れれば、おいしく感じる煮出し時間もわかってくるし、あれを加えたらおいしいかも、というアイデアも浮かんできます。まずは愉しみながらつくってみるのがおすすめです」

野草は、ひもでまとめ、カーテンレールに吊るしても。「感覚的には洗濯物と一緒。よく晴れた日に干し、日が陰ってきたら取り込みます」
※草を採取する場合は土地の所有者の許諾を受け、農薬などに注意してください。
<撮影/鈴木静華 取材・文/宇野津暢子>

前沢リカ(まえざわ・りか)
江戸料理の老舗などで修業後、2003年東京・下北沢に和食店「七草」をオープン。旬の野菜にひと手間加えたシンプルで美しいひと皿が評判に。2017年、富ヶ谷に移転リニューアルオープン。https://www.nana-kusa.net/
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです