大好きなお店のこと
いつの間にか、思い描いていた理想のお店に
お店のキッチンに立てなくなって、もう2年が経ちました。最初の1年は、知り合いのシェフが代わりにお店を守ってくれていましたが、彼も新しいステージへと羽ばたきました。
この1年は、夢の出版を見据えながら、友人たちに手を貸してもらいながらのレシピ開発やイベントなどでお店を使っています。
私は隅っこにちょこんと座ったままで、みんなにお願いしたり、みんなのおしゃべりを聞いて笑ったり、自分のアイデアをなんとか伝えたりするばかりですが、お店にいるだけで楽しくて、心が落ち着きます。

もともとお店をつくったとき、私はこう思っていました。
「友達も、初めて来る人も、まるで私の家に遊びに来たように、大きなテーブルを囲んでおしゃべりしたり、新しいご縁が生まれたりする場所にしたい」と。
いま、キッチンで料理をつくる人、カウンターで笑い合う人、出来上がった料理を囲んで意見を交わす人――たくさんの友人が集まってくれた撮影風景を見ていて気づきました。
「ここは、思い描いていた通りの理想のお店になっているんだ」と。
なんて豊かで、なんて幸せな時間なんでしょう。
困難の中にあっても、こんなに幸せを感じられる私は、本当に恵まれていると心から感じています。
みんな、ほんとうに、ほんとうにありがとう。

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▼「難病ALSとともに生きる」第1話からはこちら
〈撮影/いわいあや 協力/田中 文(キッチンパラダイス)〉
まさこ
1981年、喫茶モーニングの街・愛知県豊橋市に生まれる。カフェオーナーだった賢介さんと結婚し、家族で日本と海外を行き来する生活を送った後、2018年に福岡でカフェ「サウンズフード サウンズグッド」をオープン。2021年、長女・琳さんを出産後、足から違和感を感じるようになり、2023年にALSの診断を受ける。失意の底に突き落とされるが、自然治癒の症例もあると知り、その可能性に希望を見いだして生きることを決意。現在は「#何処かで誰かの希望となりますように」を合言葉に、これまで考案してきたレシピを記録に残す活動を開始している。
インスタグラム:@sfsg_masako
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▼『天然生活』2025年6月号掲載のまさこさんの記事を公開中です。ぜひ合わせてお読みいただけましたら幸いです。







