『もしもキッチンに立てたなら』を出版して
とってもひさしぶりに、ペンを取りました。というより、ようやく少しだけ文字を打てるようになった、というほうが正しいのかもしれません。
今年に入ってから、指が思うように動かなくなり、声を出すこともさらに難しくなりました。そんななかで最近、また少しだけパソコンを使えるようになったのです。
まだ、1文字を打つのにも時間がかかりますが、それでも、自分の気持ちを自分の言葉で伝えられることが、いまはとてもうれしいです。
多くの方々にご協力をいただき、2026年3月21日に『もしもキッチンに立てたなら』を出版しました。予想以上にたくさんの方が本を手に取ってくださり、本当にありがたく思っています。

『難病ALSのママが綴る いのちのレシピ もしもキッチンに立てたなら』(徳間書店)
amzn.to「本を読んで、前を向こうと思いました」「家族との食事の時間を大切にします」「涙が出ました」……
私のもとに、そんなお手紙やメッセージが届くようになりました。
たとえ病気だとしても、私には何気ない日常があり、暮らしを楽しみたいし、私らしくいたい。そんな思いに共感してくださる方がいたことが、とてもうれしかったです。
本を書くことは、自分のこれまでをゆっくり振り返る時間でもありました。
病気になって、失ったものはたくさんあります。でもその一方、病気になったからこそ気づいたこともあります。
支えてくださる方々とのご縁。日常のあたりまえの尊さ。家族や仲間がそばにいてくれる心強さ。出版を記念して開かれた「ハグ会」では、読者のみなさんから大きな力をいただき、この上ない幸せを感じました。

そして、いまの自分だからこそできることが、まだあるのだということにも気づきました。
ふたりの子どもを思って書いた本は、いまでは私の手を離れ、読んでくださったみなさんの、それぞれの暮らしのなかへ旅立っていったように感じています。
自分の人生と重ねながら読んでくださる人がいる。そこから何かを受け取ってくださる人がいる。そのことが、いまは何より幸せです。本を出版して、本当によかったと思います。

〈協力/田中 文(キッチンパラダイス)〉
はらだ・まさこ
1981年、喫茶モーニングの街・愛知県豊橋市に生まれる。カフェオーナーだった賢介さんと結婚し、家族で日本と海外を行き来する生活を送った後、2018年に福岡でカフェ「サウンズフード サウンズグッド」をオープン。2021年、長女・リンさんを出産後、足から違和感を感じるようになり、2023年にALSの診断を受ける。失意の底に突き落とされるが、自然治癒の症例もあると知り、その可能性に希望を見いだして生きることを決意。現在は「#何処かで誰かの希望となりますように」を合言葉に、これまで考案してきたレシピを記録に残す活動を開始している。
インスタグラム:@sfsg_masako
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4才と12才の子の母であり、シェフのまさこさん。3年前、難病ALSだと診断を受けました。治療法が確立されていない進行性の病気です。
「子どもたちに”母の味”を残したい」
病と向き合う著者がそんな願いを胸に綴った、料理が好きな人や、家族を大切に思うすべての人に届けたい胸に深く響くエッセイ&レシピ集です。
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まさこさんのレシピやお店のこと、ALSとともに生きる日々については、こちらの記事でもご紹介しています。ぜひあわせてお読みください。
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▼天然生活web連載「難病ALSとともに生きる」
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