毎日食べても飽きない玉子料理は、栄養たっぷりでお値頃、おいしい、私たちの強い味方です。楽しく食べて一日を元気に! 自他ともに認める卵好きの料理家・飛田和緒さんに、春のおすすめ卵料理のつくり方を伺います。今回は、「スパニッシュオムレツ」のつくり方を紹介します。
(『天然生活』2017年4月号掲載)
飛田和緒さんに教えてもらう、春らしい玉子料理レシピ
飛田和緒さんに、春の玉子料理を伺ったところ、どれもおいしそうでメニューを絞りきれず、頭を抱えました。卵愛についてのお話がまた、興味深いのです。
「わが家で最も登場回数の多い食材かもしれません。一日に2個食べるのが理想的などといわれますが、とくに気にしたこともなくて(笑)。娘も主人も私も、卵家族って呼んでもいいほど好物なんです」
飛田さんの表情が自然とほころびます。まず、朝は目玉焼きに卵かけごはん。お昼は玉子サンド、もしくは、甘いだし巻き玉子に麺類を合わせて。夜はメインの炒めもののほか、とじたり、つなぎや衣にしたり。つくり置きのおつまみにもするそうです。娘さんのお弁当も、オムレツ弁当、そぼろ弁当、煮卵弁当、親子丼弁当、玉子とじ弁当と、出てくる出てくる。
「好きだから食べて、だから元気。そんなふうに考えています」
ふだんよく使っているのは、近所の養鶏場のものだそうです。殻の色も、白、ベージュ、薄水色など数種類あり、餌の種類や原産地によって、大きさや味に個性があるのだとか。ほかにも、おいしい卵があると聞きつければ、遠方まで買いにいくことも日常茶飯事。話しながら冷蔵庫から取り出したのは、山形県産の卵なのでした。
玉子料理の魅力は、見た目と使いやすさ、そしてアレンジを楽しめること
「ほかの素材と比べて玉子料理のレパートリーが多いのは、やはり、そのままでもおいしく、また値段が手頃なことから、気軽にたくさん使えるから。そして、保存期間が長いこと、なにより、冷蔵庫にいつもあって使いやすく、見た目も楽しく、自在に料理をつくれることなどが大きな理由でしょうか」と飛田さん。
あまたある定番のなかから、朝昼晩を問わず楽しめる、春らしいレシピを紹介していただきました。
「『スパニッシュオムレツ』は、そのときどきにある素材をベースに、ハムやソーセージなどを加えてボリュームをアップさせたり、旬の春野菜を組み合わせたりするなど、手軽にアレンジを楽しめます」
春の玉子料理
「スパニッシュオムレツ」のつくりかた
色とりどりの季節の野菜がたっぷり。玉ねぎとベーコンを炒めて加え、コクとうま味をアップさせます。油を足しながら焼くのがコツです。
材料(直径18cmのフライパン1個分)
● 卵 | 5個 |
● ベーコン | 50g |
● ミニトマト | 5個 |
● にんじん | 80g |
● いんげん | 8本(45g) |
● じゃがいも(男爵薯) | 小1個(100g) |
● 新玉ねぎ(または玉ねぎ) | 小1個(100g) |
● トマトケチャップ | 大さじ1 |
● 塩、こしょう | 各少々 |
● オリーブオイル | 大さじ1 |
つくり方
1 ミニトマトは、へたを除いて1/4のくし形に切る。にんじんは2mm厚さの薄切り、いんげんは筋を除き、ともに食べやすいかたさにゆで、いんげんは1cm幅に切る。じゃがいもは皮ごと、やわらかくなるまで水からゆで、5mm厚さに切る。
2 玉ねぎとベーコンは、それぞれ1cm角に切る。フライパンにベーコンを入れて熱し、軽く炒めて脂が出てきたら玉ねぎも加えて、軽く炒め合わせる。
3 ボウルに卵を溶き、1と2、トマトケチャップ、塩、こしょうを加えて混ぜ、卵液にする。
4 フライパンにオリーブオイルを入れて中火で熱し、3の卵液を流す。少しおいて軽く混ぜながら焼き、裏面が香ばしく色づいていたらオムレツの端の部分にオリーブオイル(分量外)をたらし、皿などに滑らせて取り出す。そのままフライパンをかぶせて裏に返す。
5 返したところで、火を弱めの中火にし、同様に端の部分にオリーブオイル(分量外)をたらしてオムレツの端を底に入れ込むようにして丸く形を整える。火がとおるまでじっくりと焼き、皿に盛る。少し時間をおいて、落ち着かせてから切り分ける。
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〈料理/飛田和緒 撮影/公文美和 スタイリング/久保原恵理 取材・文/吉田佳代〉
飛田和緒(ひだ・かずを)
料理家。高校時代を長野で過ごし、現在は海辺の町に家族3人で暮らす。おいしい卵のためなら、どこへでも出かけていくほどの卵好き。著書に、『常備菜』(主婦と生活社)、『飛田和緒さんのかぞくごはん』(小学館)、『飛田和緒の郷土汁』(世界文化社)、『いちばんおいしい野菜の食べ方』(オレンジページ)、『くりかえし料理』(扶桑社)など多数。
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※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです