メントール成分を含み、独特の清涼感を持つ「ミント」
ペパーミント、スペアミント、ハッカなど、実にたくさんの品種があるミント。
種類によって、色や形、風味などが異なりますが、どれも共通しているのは「メントール」という成分を含み、スーッとした香りと清涼感があることです。
なかでも、日本のミント「薄荷(ハッカ)」はメントールの含有量が65%以上。
数あるミントのなかでも、より清涼感が強く、古くは目が疲れたときに葉をもんでまぶたをなでたり、眠気覚ましなどに使われていたそうです。
一方、ペパーミントやスペアミントなどの洋種ハッカは、メントールの含有率が50%以下。清涼感はよりマイルドで甘味もあるので、食用にむいています。
スペアミントの葉は、緑色で柔らかく、甘味があるのが特徴、ペパーミントの葉は、黒っぽい色でシャキッとした形をしていて、スパイシーな風味があります。
また、ペニーロイヤルミントなど、毒性を持つため食用にはできず、虫よけなどに使われるミントもあります。
消化を促進し、胃腸を整える、ミントのハーブティー
ミントは消化の促進を助け、さわやかな香りで気分をリフレッシュさせてくれます。
フレッシュミントを水に入れて、ハーブウォーターにしたり、お湯を注いでハーブティーにしたり。
ハーブティーはレモン系のハーブ(レモンバーム、レモンバーベナ、レモンマートル、レモングラスなど)とブレンドしてもおいしいです。
また、コーディアル(シロップ)やビネガーをつくって、炭酸やお酒で割って飲むのもおすすめです。
薬味として使えば、さわやかな風味付けに
さわかなフレッシュミントは料理の風味付けにも。
ベトナムではフォーの薬味として、ライムや唐辛子とともにペパーミントが添えられていました。
こちらは、ポン酢で和えた焼きなすに、ミョウガ、レッドオニオン、ミントをトッピングしたもの。
虫よけやスキンケアにも
ミントの成分をアルコールで抽出したチンキを精製水で希釈すれば虫よけスプレーに。
ミントのチャコールパック(ミントの浸出油と炭パウダーを混ぜたもの)は、ほんのりスーッとした清涼感があり、肌の汚れを落としたり、日焼けの鎮静などにおすすめです。
次回からは、ミントのシロップ(コーディアル)やチンキのつくり方、ミントを使った料理などをご紹介します。どうぞお楽しみに!
ミントについて
分類:シソ科ハッカ属
ユーラシア大陸原産。多くの種は多年草であるが、一年草の種も存在する。
「ミント(Mint)」の名は、ギリシャ神話で植物に変身したニンフである「メンテー(Μίνθη)」に、「薄荷(ハッカ)」は、かつて北海道で盛んに栽培されていた頃、収穫した葉を蒸留してハッカ油にすることで、重量を軽くして輸出していたことに由来するともいわれている。
山下智道(やました・ともみち)
野草研究家。福岡県北九州市出身。登山家の父のもと幼少より大自然と植物に親しみ、野草に関する広範で的確な知識と独創性あふれる実践力で高い評価と知名度を得ている。国内外で多数の植物観察会・ワークショップ・講座を開催。
著書に『ヨモギハンドブック』(文一総合出版) amazonで見る 、『野草がハーブやスパイスに変わるとき』(山と渓谷社) amazonで見る 、『野草と暮らす365日』(山と渓谷社)amazonで見る など多数。
7/19に新刊『旅で出会った世界のスパイス・ハーブ図鑑 東・東南アジア編』 amazonで見る が発売予定。
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野草研究家・山下智道がアジア各地を旅して出会った風変わりでエキサイティングな植物たちを写真で案内する、新感覚のスパイス・ハーブ図鑑。
ネパール、タイ、ベトナム、マレーシア、フィリピン、台湾、韓国の7つの国で親しまれている香辛料、香草、薬草、野菜、果物、藻類などを、現地での様々な用途や日本で見られる近縁種とともに150種以上紹介。
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