(『天然生活』2024年11月号掲載)
生活リズムと睡眠も大切
人間にとって最も基本的な休養は「睡眠」です。
日中、傷ついた細胞は寝ている間に修復され、翌日の朝からまた元気に過ごすというのが、私たちのサイクルです。
人によって適切な睡眠時間は違いますが、認知症予防のために5〜6時間の睡眠は確保するようにしましょう。
睡眠で上手に休養を得るには、眠りすぎないことも大切です。睡眠不足はもちろんよくありませんが、休んでばかりいると体の機能が衰えてしまいます。
睡眠の役割には、肥満・生活習慣病・感染の予防などもあります。
生活リズムを整えて質のよい睡眠をとることで、これらの病気のリスクを減らすことができるのです。生活リズムを整えると、自律神経が整うので、活力がわきやすくなります。
生活リズムを整えるためには、寝る前に蛍光灯やスマートフォンの強い光を浴びない、朝は太陽の光を浴びて体内時計をリセットするなども心がけたいですね。

ダラダラと寝すぎるのは自律神経に悪影響。
朝、太陽の光を浴びると、1日のリズムをリセットでき、夜もぐっすり眠れるようになる
健康の三大要素は「栄養・運動・休養」です。
「しかし、“休養後進国”ともいわれる日本では、休養の大切さがまだまだおろそかにされています」
いまの時代、肉体的な疲労よりも、パソコンやスマートフォンなどで頭を使うことによる疲労がほとんどです。
「昔のように横になっていたら体の疲れがとれた時代とは、疲れの質が変わってきたということ。当然、疲れを回復する方法も、いまの時代に合わせることが必要です」
活力を高めるには、少しだけ負荷をプラスすることも有効です。
エスカレーターを使わず階段を上るというようなささいなことでいいので、小さな負荷に挑戦してクリアする。
それが体力的にはもちろん、気持ち的にも活力を与えてくれます。
「休むことに対して、自分から積極的・主体的になる。それがずっと元気でいるための秘訣です」
「活力」を加えた休養をとることで心も体も元気に!

<監修/片野秀樹 取材・文/工藤千秋 イラスト/ホリベクミコ>
片野秀樹(かたの・ひでき)
医学博士・一般社団法人日本リカバリー協会代表理事。同協会では休養に関する社会の不理解の解消やリテラシー向上を目指し啓発活動に取り組む。株式会社ベネクス執行役員、博慈会老人病研究所客員研究員、日本未病総合研究所未病公認講師(休養学)。著書に『あなたを疲れから救う 休養学』(東洋経済新報社)など。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです