食とともに巡る、ハノイの旅
ここ数年、私は毎年のようにハノイを訪れている。
なぜこんなにも惹かれるのだろう、とあらためて考えてみた。
理由は、とても単純で、食が驚くほど自分の好みに合う。
今回は2泊3日という短い日程で、仲のいいメンバーを案内。
時期がよかったので、空は高く、湿度も穏やか。
目的地まで自然と足が前に出てとても気持ちがいい。
街を歩いていると、ふと見上げた空に、ベトナムの赤い旗が連なって揺れている。
抜けるような青空に、赤と黄色。

10月10日が「首都解放記念日」だったそうで、この国が日常の中で、この国の人たちの歴史とともに生きていることが、伝わってくる。
旅の始まりに、これ以上ないほどハノイらしい風景だった。
ハノイのお雑煮、バイン・ドゥック・ノン
朝は、ハノイのお雑煮から。
普段、私は朝ごはんを食べない。
けれど旅先では話が別で、三食きちんと食べる。
料理家の性、と言ってしまえばそれまでだけれど、その土地の一日の始まりを、きちんと味わいたい。
ハノイに来たら、必ず訪れる朝の定番がある。
Bánh Đúc Nóng(バイン・ドゥック・ノン)。

私にとっては、ハノイのお雑煮のような存在で、大きな鍋の中で、二本の棒を使い、ゆるめのお餅をかき混ぜるように、ただひたすら練り上げていく。
その様子を眺めているだけで、体がゆっくりと目を覚ましていく。
お茶碗ほどの器に盛られたお餅に、ひき肉、揚げ豆腐、きくらげ、フライドオニオン、パクチー。
ニョクマムの効いたスープ仕立てで、仕上げにカラマンシーをきゅっと絞る。
軽くて、小ぶりで、朝にちょうどいい。
いつもはここからもう一軒、という流れになるのだけれど、今回はこれだけにした。
それでも十分。
毎日食べたいと思うほど好みの味で、帰国してからも、つい“マイマイ風”に再現してしまう。
建築も展示も美しい、ベトナム国立美術館
食後は何度訪れても足を運びたくなるベトナム国立美術館へ。

この建物は、かつてフランス人高官の娘たちのための寄宿学校として設計されたものだという。
フランス風の邸宅に、古典と現代の要素が溶け合い、建築そのものが、すでにひとつの作品になっている。
大きな窓から差し込む自然光、風が抜けるような空間、作品を見る前に、まず建物に心を持っていかれる。

館内は、チャンパ王国やクメール王国の古代彫刻から、近代、現代へと、ベトナム美術の時間をたどる構成。

中でも、精緻な手仕事と深い色彩をもつ漆絵の前では、自然と足が止まる。
フランス領時代、ベトナム戦争を経て、いまは平和な町として息づくハノイ。
その歴史を、声高に語ることなく抱えている場所だ。
最上階のお土産売り場からの眺めも、ぜひ味わってほしい。

お店の住所
ハノイのお雑煮のお店 Quán Bánh Đúc Nóng
Ngõ 8 P. Lê Ngọc Hân, Ngô Thì Nhậm, Hai Bà Trưng, Hà Nội,
ベトナム美術博物館
66 P. Nguyễn Thái Học, Điện Biên, Ba Đình, Hà Nội,
開館時間: 午前8時30分~午後5時00分
Clemente studio
https://www.instagram.com/clemente.studio/
03 P. Bùi Thị Xuân, Nguyễn Du, Hai Bà Trưng, Hà Nội
チェーの店 Chè Hương Hải 93 Hàng Bạc
85 P. Hàng Bạc, Hàng Bạc, Hoàn Kiếm, Hà Nội,
54 Traditions Gallery
44B P. Hàng Bún, street, Ba Đình, Hà Nộ
Ốc Nóng Hà Trang
1A P. Đinh Liệt, Hàng Đào, Hoàn Kiếm, Hà Nội,
Tầm vị
4b P. Yên Thế, Văn Miếu – Quốc Tử Giám, Ba Đình, Hà Nội
Bouchon cafe & Wine
69 Phùng Hưng Hà Nội, Hano
The Haflington
94 P. Hàng Mã, Phố cổ Hà Nội, Hoàn Kiếm, Hà Nội
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真藤舞衣子(しんどう・まいこ)
料理家。発酵研究家。会社勤務を経て、1年間京都の禅寺で生活。フランスへ料理留学後、料理教室を主宰するほか、雑誌や書籍で活躍。著書に『つくりおき発酵野菜のアレンジごはん』(主婦と生活社)、『サバの味噌煮は、ワインがすすむ』(日本経済新聞出版、小泉武夫氏と共著)など。
インスタグラム@maikodeluxe
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