• 料理家の真藤舞衣子さんが、ここ数年、毎年訪れているという街・ハノイ。最大の魅力は、驚くほど自分の好みに合う「食」。定番の朝ごはん、鴨フォー、エッグコーヒー、ブンチャー、バインミー。食べ尽くして帰る2泊3日の締めくくりと、帰国後に台所で続く“旅の余韻”。料理は記憶と身体をつなぐもの。ハノイがなぜ何度も戻りたくなる街なのか、その理由を綴ります。

    旅は、台所へ続いていく

    ハノイから戻り、旅の余韻が消えないうちに、ベトナム料理をおさらいするように台所に立った。

    手に入らない食材もあるけれど、無理に置き換えない。

    画像1: 旅は、台所へ続いていく

    大切なのは、味を再現することよりも、身体が覚えている感覚をたどることだと思っている。

    大きな鍋で練る、あのハノイのお雑煮。鱈にディルをたっぷり添えたチャーカー。

    どちらも仕上げに欠かせないのは、ニョクマム(魚醤)だ。

    画像2: 旅は、台所へ続いていく

    発酵した魚の旨みと塩気は、出汁のようでいて、もっと野生的。加えた瞬間、鍋の中の空気がふっと変わり、味に奥行きが生まれる。

    身体が「あ、これだ」と反応するのがわかる。

    温かいチェーもまた、甘いだけではなく、豆や穀物、生姜、アレンジで入れた甘糀の力がじんわりと内臓を温めてくれる。

    画像3: 旅は、台所へ続いていく

    旅の途中で、なぜあれほどほっとしたのか、自分で作ってみて、ようやく腑に落ちた。

    料理家として思うのは、発酵調味料は「効かせるもの」ではなく、「身体に馴染ませるもの」だということ。

    ニョクマムも、日本の味噌や醤油と同じく、料理を支えてくれる大切な調味料。

    完璧な再現ではないけれど、香りや温度、口に含んだときの感覚が、ふとハノイの街角へと連れ戻してくれる。

    料理は、記憶と身体をつなぐ、いちばん身近な旅の続き。

    次にまたハノイを歩く日まで、しばらくは台所で、この街を反芻していようと思う。

    お店の場所

    鴨の店 Phở vịt quay Ngọc Phát
    319 P. Thanh Nhàn, Bạch Mai, Hai Bà Trưng, Hà Nội, ベトナム

    エッグコーヒー Sofitel Legend Metropole Hanoi 
    15 P. Ngô Quyền, Tràng Tiền, Hoàn Kiếm, Hà Nội 100000 ベトナム

    ゴックスアン・ブンチャーレストラン Quán Bún Chả Ngọc Xuân1
    02 Đ. Thụy Khuê, Thuỵ Khuê, Tây Hồ, Hà Nội, ベトナム

    バインミーママ Bánh mì Mama
    54 P. Lý Quốc Sư, Hàng Trống, Hoàn Kiếm, Hà Nội, ベトナム

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    画像: お店の場所

    真藤舞衣子(しんどう・まいこ)
    料理家。発酵研究家。会社勤務を経て、1年間京都の禅寺で生活。フランスへ料理留学後、料理教室を主宰するほか、雑誌や書籍で活躍。著書に『つくりおき発酵野菜のアレンジごはん』(主婦と生活社)、『サバの味噌煮は、ワインがすすむ』(日本経済新聞出版、小泉武夫氏と共著)など。
    インスタグラム@maikodeluxe

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