(『天然生活』2017年2月号掲載)
「まずは頭のなかで、ゴールしたい味のイメージを決めます。そこに向かって試作を重ねながら、スケッチブックに料理の材料・分量のメモ、完成形の絵を描いて色をつけ、見た目の美しさも考えます」と、あゆみさん。
スケッチブックは外出にも持ち歩き、アイデアが生まれた瞬間を逃さず描きつけているそうです。
そうしてたまった献立帖。何度も見直し使い込んでいるので、いまでは大事な相棒だといいます。「色づけに使うのは、高校時代に父親から贈られた80色の色鉛筆。食材の微妙な色合いを表現するのに、重宝しています」
長時間、煮込んでも野菜をくずさないための工夫は?……淡泊な魚にもしっかり味を感じてもらうためには?……献立帖をめくっていると、「おいしい」が生まれるまでの試行錯誤の道のりがみえ、ゴールに向かって走るあゆみさんの小さなつぶやきが聞こえるよう。
だからでしょうか、いただいたおもてなし料理のレシピにも感じるのです。「楽しくつくっておいしく食べてほしい」という、温かなメッセージを。
献立スケッチ
ビーツのコロッケ
ビーツの色鮮やかなピンク色がサプライズ感満点のコロッケ。マスタードの酸味をピリッと利かせ、食べやすいひと口サイズに。
材料(3~4人分)
● じゃがいも | 2個 |
● ビーツ | 1/2個(50g) |
● ベーコン | 50g |
● 粒マスタード | 小さじ2 |
● 塩、こしょう | 各少々 |
● 米油 | 少々 |
● 薄力粉 | 適量 |
● パン粉 | 適量 |
● 揚げ油 | 適量 |
つくり方
1 じゃがいもとビーツは皮つきのまま蒸し器に入れて火にかけ、20~30分、竹串が通るまでしっかりと蒸す。
2 1のじゃがいもとビーツの皮をむく。じゃがいもはボウルに入れてなめらかにマッシュし、ビーツは3~5mm角に切る。
3 フライパンに米油を熱し、2のビーツと5mm角に切ったベーコンを炒める。粒マスタード、塩、こしょうを加えて味をととのえる。
4 2のじゃがいもに3を加えて全体をよく混ぜ、30gほどずつに丸める。
5 バットに、薄力粉、薄力粉を少量の水(分量外)で溶いたもの、パン粉をそれぞれ用意し、4を薄力粉から順番に衣づけする。
6 揚げ油を180℃に熱し、5をこんがりきつね色になるまで揚げる。
とりむね肉のフライ タルタルソース添え
塩麴に漬けてふっくらやわらかくなった、とりむね肉の食感に驚き。タルタルソースは、きざんだハーブとヨーグルトでさっぱりと。
材料(3~4人分)
● とりむね肉 | 1枚(250g) |
● 塩麴 | 大さじ1 |
● こしょう | 少々 |
● 薄力粉 | 適量 |
● パン粉 | 適量 |
● 揚げ油 | 適量 |
● タルタルソース(*) | 適量 |
つくり方
1 とりむね肉は食べやすい大きさに切り、ビニール袋に入れる。塩麴とこしょうを加え、全体をよくもんで冷蔵庫に入れ、ひと晩おく。
2 1を冷蔵庫から出して、常温で1時間ほどおく。
3 バットに、薄力粉、薄力粉を少量の水(分量外)で溶いたもの、パン粉をそれぞれ用意し、2を薄力粉から順番に衣づけする。
4 揚げ油を170℃に熱し、3をこんがりきつね色になるまで揚げる。
5 タルタルソースをかけ、仕上げにイタリアンパセリ、ディル(各分量外)を散らす。
*タルタルソースのつくり方(つくりやすい分量)
材料
● 玉ねぎ(みじん切り) | 1/8個 |
● ゆで卵 | 2個 |
● ピクルス(粗みじん切り) | 30g |
● マヨネーズ | 80g |
● プレーンヨーグルト | 大さじ1と1/2 |
● イタリアンパセリの葉とディル(みじん切り) | 各2~3枝分 |
● 塩 | 小さじ1/4 |
● こしょう | 少々 |
つくり方
1 玉ねぎ1/8個分は皮をむいてみじん切りにする。塩少々(分量外)でもみ、水にさらして辛味を抜く。
2 ゆで卵2個は殻をむき、フォークの背で細かくつぶす。
3 水けをきった1の玉ねぎと、2のゆで卵、粗みじん切りにした市販のピクルス、マヨネーズ、プレーンヨーグルト、みじん切りにしたイタリアンパセリの葉とディル、塩、こしょうを合わせて、よく混ぜる。
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<料理/大塩あゆ美 撮影/大沼ショージ スタイリング/竹内万貴 取材・文/道広哲子>
大塩あゆ美(おおしお・あゆみ)
料理研究家。たかはしよしこ氏のもとで修行後、独立。出張料理「あゆみ食堂」としてケータリングやレシピ提案を中心に活動。2019年10月に長野・諏訪で実店舗「あゆみ食堂」をオープン。地場産の食材を中心とした、旬の味を生かした料理が好評。著書は、『あゆみ食堂のお弁当』(文化出版局)、『超元気になれる! あゆみ食堂のワンプレート』(家の光協会)。
インスタグラム:
https://www.instagram.com/ayumishokudo/
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです